安倍首相の「劇薬」が日本売りを招く? (3)
▽リスクヘッジファンドは勝利?
だが市場関係者の多くは、円の対ドルレートは引き続き円安の道を歩むとの見方を示す。米シティバンクの高島修東京駐在チーフFX(外国為替証拠金)ストラテジストによると、ドル・円レートは円高傾向が続き、2月初旬には91円近くまで下がり、市場の調整作用がはたらく見込みだ。こうした動きは日本売りに力を入れてきたリスクヘッジファンドにとって朗報であることは間違いない。円の対ドルレートが大幅に低下した過去3カ月の間に、日本国債の金利が徐々に上昇し始めているという。
長らく日本研究に取り組んできた専門家であり、日本売りのヘッジファンドを運営してきたクリストファー・リグ氏によると、昨年12月16日に総選挙で安倍氏の首相就任が決定すると、これが情勢変化の促進剤となった。日本銀行(中央銀行)は来年初めに総裁と2人の副総裁が交代する予定で、安倍首相の任期中に長期的な「インフレハト派」の中央銀行が誕生する可能性がある。
リグ氏の予測によると、こうした変化により日本国債の金利が2%上昇するとみられる。日本崩壊論を主張する人の6-7%には及ばないが、日本売りをしようとする人を大もうけさせるには十分な数字だ。現在の日本国債の金利は2%には遠く及ばないが、今月4日には期間10年の長期国債の収益率が0.04%上昇して0.835%となり、昨年9月13日以降で最高となり、単日の上昇幅としては昨年8月7日以降で最大となった。あるアナリストは、日本銀行がこれから通貨を乱発すれば、日本の債務コントロールに対する信頼感が失われ、国債金利が急上昇する可能性があると警告する。