米学者、中国経済は「日本式の不況」に陥ることはない
中国経済は「中所得の罠」や「日本式の不況」に陥るのだろうか。労働者の賃金の上昇、高齢化の到来は中国経済にどのような影響を与えるのだろうか-----。
米ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローであり中国経済の専門家であるニコラス・R. ラーディ氏はこのほど環球時報の取材に答え、これらの問題に比較的楽観的な見方を示した。ラーディ氏は「中国がやるべきことは、経済構造の調整加速、および経済発展モデルの転換に関する政策を着実に実施することだ」と指摘する。環球時報が伝えた。
環球時報:国際的に見て、中国経済が今後直面する最大の変化とは?
ラーディ氏:最大の変化は、今後数年間で中国の輸出増加がかなり鈍化するということだ。中国の輸出回復の見通しは今年も楽観的ではない。中国にとって最大の輸出市場である欧州経済の成長は非常に緩慢だ。しかし、中国の輸出増加ペースはそれでも世界平均を上回っている。
このほか、中国の輸出品の構造も変化するだろう。中国企業のイノベーション能力向上、世界のバリューチェーンにおける地位の向上にはまだ長い時間がかかるが、中国の高付加価値商品の輸出が占める割合がある程度上昇すると思われる。
環球時報:中国の安価な労働力による発展のメリットは消滅しようとしているか?
ラーディ氏:私はこの観点に疑問を呈する。中国の人口ボーナスはまだなくなっていない。中国には依然として数億人の農村人口がおり、技能を持ち、近代的産業に参加できる労働力を大量に有している。中国経済は競争力を失ってはいない。競争力という点から言えば、賃金水準だけでなく、生産量あたりの人件費を重視しなければならない。中国の賃金上昇は突然始まったものではなく、すでに長期にわたり続いている。そして過去10年間、中国の労働生産率も年10%のペースで成長してきた。ゆえに、生産量あたりの労働力コストは実質的にはあまり変化していない。