中国各地 最低賃金基準を2割弱引き上げ
2013年に入り、上海市、広東省、天津市、浙江省、北京市、山東省など22の地域が最低賃金基準を引き上げ、平均で18.4%増となった。出稼ぎ労働者の給与などの未払い分の支給額は全国で145億3000万元に達し、給与支払い保障の長期的・効果的なメカニズムの建設が進められた。中国新聞社が伝えた。
中国人力資源・社会保障部の情報によると、現在全国で最低月給が最も高額な上海市は1620元(約2万5920円)に達しており、最低時給が最も高額な北京市と新疆ウイグル自治区は15.2元(約243円)となっている。
7月1日に「労働契約法」の改正版が施行されてから、派遣労働者の平等な給与支給問題が注目を集めてきた。中国人力資源・社会保障部が今年上半期、全国範囲で支給した出稼ぎ労働者の給与などの未払い分は145億3000万元に達した。同期に労働保障監察機構が調査した労働保障違法事件のうち、62.5%の事件は給与支払い問題と関連しており、前年同期比27.5%増となった。労働人事紛争仲裁機構が受け付けた労働報酬に関する案件は全体の33.6%を占め、前年同期比1.6%増となった。労務派遣に関する案件は全体の3.3%を占め、前年同期比25.4%増となった。
中国経済の成長の圧力が下半期に増加し、一部企業の生産・経営がさらに困難になると予想されている。経済構造調整および余剰生産能力の消化などによる影響を受け、企業に大規模リストラおよび給与未払いなどの問題が発生する可能性がある。これにより職員の増給に対する要求、企業の給与支払い能力の低下の矛盾が激化する。現在の給与の持続的な増加の流れを見ると、最低賃金基準の引き上げは企業の経営コストを引き上げ、輸出企業の利益を狭めることになる。
中国科技大学経済管理学院の劉澄教授は、「各地の最低賃金基準の引き上げは象徴的な指標であり、経済全体の進歩を示すものでもある。いわゆる企業の経営コストの増加とは、主に中小企業にとってのことである。しかし各都市において、すでに最低賃金基準が引き上げられながらも、依然として人材不足が生じている。これは企業の経営コストの増加によるものではない」と指摘した。
劉教授は、「企業は賃金増のコストへの影響を消化できる。従業員の賃金が中国企業のコストに占める比率は約5−10%で、現在これが2割引き上げられたところで社会全体が被る圧力はせいぜい1−2%増加するだけで、欧米諸国の10分の1には及ばない。国家は現在、資金調達コストに対する支援を強化し、土地税収の減免の政策を施行しており、企業のコストの増加分を相殺できる。労働高度密集型の企業であっても、この一部の比率しか占めないコストを積極的に消化すべきだ」と指摘し、「ましてや中国企業が現段階でやるべきことはコスト削減ではなく、効率改善から着手し、技術開発に取り組む必要があるのだからなおさらだ」と強調した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年8月27日