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民主、去るも残るも厳冬〈乱流総選挙〉

民主党から出た人、残った人

 逆風を受ける民主党を脱出し、党を渡り歩く渡り鳥のような政治家たちが新党「日本未来の党」に集まり始めた。立ち上げた新党を一時的な止まり木に使ったり、日本維新の会に移れず戻ったり、離党組の動きは激しい。それぞれ選挙事情を抱えるが、民主党を出た人も残った人も、厳しい冬を迎えている。

■渡り歩いた先でも苦戦

 28日午後6時、愛知県安城市の新安城駅に、小林興起氏(68)の姿があった。日本未来の党から立候補する予定だが、旗は河村たかし名古屋市長が率いた「減税日本」のまま。

 「党名が変わったって、この愛知県、減税日本の理念が変わるわけじゃない」

 そう訴える小林氏の前に足を止める人はまばらだ。

 この数カ月、立ち位置はめまぐるしく変わった。消費増税に反対して8月に民主党を離党し、減税へ入党。その減税は太陽の党との合流を決めたが、太陽と組んだ日本維新の会が減税の合流を拒否。小林氏は単独で維新入りをはかったが、認められなかった。結局、27日に日本未来の党へ参加を決めた。

 立候補を予定する愛知13区は縁もゆかりもない。競合する陣営の幹部は「生き残るためにあの手この手で政党を渡り歩いてきた人。知名度だけで勝てる選挙区ではない」と突き放す。

 山梨1区から立候補する予定の小沢鋭仁元環境相(58)は維新入りを果たした。28日夜、甲府市のホテルの舞台に維新の石原慎太郎代表が登場すると、1千人超の支援者が入った会場から拍手がわき上がった。

 「小沢さんが愛想を尽かしてやめた民主党は、本当に無能の固まりみたいな政党なんだ」。そう石原氏がぶてば、小沢氏も「世論調査で維新は民主を抜いて2位になった」と強調した。

 小沢氏は1996年の民主党結党時からのメンバーだが、「民主党では大きな改革ができない」と離党。支援者からは「民主の評判が悪いから逃げた」と批判を浴びせられる。民主党は斎藤勁官房副長官(67)を対立候補に擁立。小沢氏周辺は「連合の支援もひっぺがされた」と言い、小沢氏は「民主に残った方が楽な戦いはできた」とこぼす。

 解散日に民主党を飛び出した初鹿明博氏(43)が28日夜、東京都江戸川区で開いた決起大会には、鳩山由紀夫元首相が登場した。鳩山氏は「日本未来の党こそ、本来の民主党の原点の発想だ」と訴えた。

 初鹿氏はみどりの風を経て未来に入る。同日朝、駅前の活動で使った街宣車は「みどりの風」の看板のまま。通行人から「どこの党から出るの?」と聞かれ、「みんなの(党)……」と言い間違えかけた。

 「どこから出るか分からない有権者もいるだろう」

 初鹿氏ですらこう語る。

■選挙後、巻き返しに望み

 野田佳彦首相に批判的な立場をとりながら、離党しなかった「かごの鳥」たちも複雑な事情を抱える。

 原口一博元総務相(53)は28日、地元の佐賀市で首相を迎えた。自らの街頭演説の途中に到着した首相を見て「大きな拍手をお願いします」と聴衆に呼びかけ、笑顔で握手して出迎えた。

 9月の党代表選に立ち、厳しく首相批判を繰り返した姿はない。「(首相は松下)政経塾の1期生。私4期生。いつもお世話になります」とお辞儀すると、聴衆から笑いが漏れた。首相は「原口さんは同志中の同志。突破力で政治は前に進んできた」と持ち上げ、原口氏も「首相とタッグを組んで党をよみがえらせる」と結束をアピールした。

 原口氏は解散直前まで、小沢鋭仁氏や新党改革の舛添要一代表らと接触を重ねて「リベラル勢力の結集」を目指す新党構想を進めていた。だが、首相の突然の解散表明で構想は頓挫。決起を促す前議員には「時間がない」と伝えた。

 一方、解散を表明した党首討論が首相ペースだったことで、選挙戦を勝ち抜くには党に残って「首相の勢いに乗る」(閣僚経験者)ことが得策との計算もはたらく。地元で配るパンフレットには、「民主党を政権交代の原点に戻す。代表選次点の期待を胸に火の玉となって党を改革するリーダーとなる」と記している。

 党内の離党予備軍約10人と新たな勉強会をつくり、一時は音楽家の坂本龍一氏らを巻き込んだ脱原発新党を模索した川内博史氏(51)も、党内に残った。28日には鹿児島市内の繁華街で「デフレ脱却なしなら消費増税は凍結」と訴えるビラを通行人に配布。「離党すればよかったのに」と水を向けられると、「いまは母屋を乗っ取られているが、選挙後に本来の民主党を取り戻す」と応じた。

 原口、川内両氏は、野党転落後の代表選で、党の主導権を奪おうともくろむ。川内氏は「未来の党の人たちは仲間」と語り、選挙後の連携を目指す構えだ。だが、首相批判勢力の多くが離党し、民自公3党路線の維持を目指す主流派との対決を制する保証はない。現職閣僚の一人は「選挙で負けても、批判勢力がいなくなった民主党はいいメンバーになる」と冷ややかだ。

 asahi.com 2012年11月29日

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