日本 原発の新規制基準が施行、5原発10基が再稼働申請
日本の原発新規制基準が8日に施行された。北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力の4社は同日午前、5原発10基の適合性審査(安全審査)を原子力規制委員会に申請した。申請したのは、北海道電力の泊原発1号機、2号機、3号機▽関西電力の大飯原発3号機、4号機、高浜原発3号機、4号機▽四国電力の伊方原発3号機、▽九州電力の川内原発1号機、2号機。人民日報が伝えた。
新規制基準は福島原発事故の教訓を踏まえ、シビアアクシデント(重大事故)・地震・津波への対策を強化したほか、再稼働に当たっては、新基準に適合しているか確認する審査に通過することが条件となる。また、原発の運転期間を原則40年以内とする制度も導入された。条件を満たせば20年までの延長を認めるものだが、これも新基準の規定に適合していることが条件で、特別検査が必要となる。
地震対策面を見ると、新基準の耐震指針では活断層の調査対象期間を、従来の「13万から12万年前以降」から、およそ「約40万年前以降」に拡大、さらに原子炉建屋など重要施設を活断層の上に設置してはならないとした。津波対策面では、基準津波を策定し、これに耐えられる防潮堤や防潮扉の設置が求められた。
一橋大学大学院商学研究科の橘川武郎教授は、「新安全基準は全体的に見て非常に厳格」と指摘し、特に重要なポイントとして以下の2点を挙げた。
・事故発生時に格納容器の圧力を下げるため蒸気を排出する際、放射性物質の大気中への放出を抑える「フィルター付きベント(排気)装置」を設置する。また、電源車や移動可能な注水ポンプ車を十分に配備する。
・地震や津波などが発生した場合、状況の変化に基づき、随時要求を調整する。
新基準は電力各社にとっても厳しいもので、現在日本にある50基の原発のうち、審査を申請したのはわずか10基だった。原発所在地の自治体も再稼動には慎重な姿勢を見せている。九州電力川内原発がある鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、「再稼働にあたっては国が安全性を保証するとともに、地域住民に十分な説明を行い、理解を得ていく必要がある」と語った。