女川原発:「常に最悪の災害に備えていく」
9月15日に関西電力大飯原子力発電所が定期検査に入ったため、日本における50基の原発が全て停止になった。停止した原発は何をしているのか?施設の安全が確保できているのか?これらの疑問を抱え、東日本大震災で被害があった女川原子力発電所の施設見学に同行した。
女川原発は宮城県牡鹿郡女川町に位置し、3.11大震災の震源地から僅か約130kmで、震源に最も近い原発である。女川町では津波で822名が亡くなり、住宅被害(全壊+半壊)は4411棟となった。女川原発の敷地に直接の津波到達はなかったが、1号機の重油タンク(補助ボイラー用)が倒壊した。地震の強い揺れで1号機の高圧電源盤が焼損し、2号機の補機冷却水系が浸水した。受けた衝撃は福島原発を超えているとも言われるが、非常用電源及び外部電源が確保されたため、地震直後1-3号機が自動停止し、放射能の漏えいはなかった。敷地内の体育館等を開放して周辺住民を約300名収容した。
「常に最悪の災害に備えていく」が女川原発のうたい文句。女川原発PRセンターの添川さんによると、最初の設計では敷地の高さは3mと想定したが、歴史上の津波被害の記録を調べ、専門家の意見を踏まえた結果、敷地の高さを14.8mに高めた。そのおかげで、最高約13mの津波を阻み、女川原発は災難から逃れることができた。一方、福島原発の敷地の高さは10mしかなかったため、津波で外部の電源を喪失し、冷却装置が利かなくなり、最終的に巨大な被害を起こした。