中国が「三軍四海」演習を実施するとのニュースが連日メディアの注目の的となっている。(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
広西チワン族自治区、遼寧省、浙江省の海事局は25日、管轄海域内で実弾射撃などの軍事演習を実施するとして航行警告を出した。これは中国人民解放軍が渤海、黄海、東中国海、南中国海で同時に演習を実施することを意味するとメディアは分析。時期的理由から120年前の甲午戦争(日清戦争)が容易に連想され、演習には日本右翼への警告の意図が含まれるとの認識でメディアは一致している。このうち、7月29日から8月2日まで東中国海海域で武器を実際に使用した訓練を実施するとの浙江省海事局の航行警告は、演習海域が釣魚島(日本名・尖閣諸島)に近いことからなおさらに注目されている。
これに先立ち、中国軍は7月15日より陸軍部隊による軍区を跨ぐ実兵実弾演習を10回続けて行うと発表した。6軍区の長距離ミサイル、砲兵、防空計10個旅団が約3カ月間にわたり実兵実弾演習を行う。
中国軍が立て続けに軍事演習を実施するのは異例だとメディアは分析する。だが実際には、これらの演習はいずれも年度軍事訓練計画に基づき実施される通常の訓練活動であり、特定の国や出来事を念頭に置いたものではなく、部隊の作戦能力を鍛え、検証し、「戦争を遂行し、戦争に打ち勝つことのできる」能力を高めることが主な目的だ。
現在中国は入り組んだ伝統的安全保障上の脅威と非伝統的安全保障上の脅威に直面している。国家の安全保障、発展上の利益に見合った強大な軍隊を建設すべく努力し、「戦争を遂行し、戦争に打ち勝つことのできる」能力を真に確保して初めて、「戦わずして他国を屈服させる軍」との目的を戦略的に達成し、平和的発展を実現するための信頼できる安全保障を提供することができる。軍の基本的役割は戦争をすることであり、平時の基本的役割は戦争の準備だ。この点は、どの国の軍も例外なくそうだ。そして平時に部隊の戦力を構築し、発展させる基本的手段が演習・訓練なのであり、今回中国軍が実施する一連の演習は実戦に似た環境の中、厳しい訓練によって、三軍将兵の揺るぎない戦闘意志、頑強な戦闘流儀、いかなる試練にも耐えうる心理的資質を培うものだ。
もちろん、いかなる国の軍事演習にも一定の抑止の意味があることは隠し立てするまでもない。中国軍の実施する一連の演習は、国家の主権、安全、領土の一体性を守るとの中国軍の決意と意志を明確かつ間違いなく示し、中国軍の強大な防御作戦能力を顕示する。中国に対して不逞を企てる国にとっては間違いなく抑止力となり、侵略者は見ただけで尻込みするだろう。
最後に指摘しておく必要があるのは、近年中国軍は訓練の強度と難度を強化したとはいえ、米国や日本などの軍と比べれば、演習回数は依然少ないということだ。ヘーゲル米国防長官は5月31日にアジア安全保障会議で、米軍がアジア太平洋地域での演習回数を年130回にまで増やすことを発表した。そしてこれには本土で行う演習や訓練は含まれないのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年7月29日