中国テレビ産業の強みが川上に位置する液晶ディスプレー産業へと拡大しつつある。鴻海集団はこのほど、液晶ディスプレーの特許をめぐり日系企業に攻勢をかけ、東芝、船井電機、三菱電機の3社が同集団の権利を侵害しているとして米国の裁判所に訴訟を提起した。業界の専門家によると、この動きはテレビの中核技術は日韓企業のものであるという「たわごと」をうち破り、液晶ディスプレー分野における中国製造業の発言権の向上を示すものだという。「北京商報」が伝えた。
▽東芝ディスプレーを権利侵害と提訴
鴻海集団が米国で東芝、船井電気、三菱電機の権利侵害を訴えたことは、富士康の劉坤スポークスマンも認めている。
富士康が示した文書によると、鴻海集団の子会社で特許の資産化と世界での授権を担当する麦克思智慧資本公司(MiiCs&Partners)が、米国・デラウェア州の地方裁判所に対し、日系三社が同集団のもつ薄膜トランジスタ液晶ディスプレー(TFT-LCD)の特許数件を侵害しているとして訴訟を提起したという。
この特許とは主にディスプレーに関するもので、テレビのディスプレーを中心に、タブレットコンピューターや携帯電話などに使用される小型のディスプレーも含まれる。業界の専門家によると、この訴訟は中国企業が近年、液晶ディスプレーの特許技術をめぐって日系企業を訴えた初めてのケースであり、里程標としての意義があるという。
一方、東芝の中国法人・東芝(中国)有限公司公関部の責任者の張さんは、「調べてみたが、東芝側は関連の法律文書を何も受け取っていないので、コメントは差し控える」と話す。船井電機も三菱電機も同じくコメントを出していない。
▽営業収入増加でライバルに打撃