日本の共同通信社はこのほど、2014年版日本防衛白書の概要を明らかにした。これによると、今年の防衛白書は、中国への根拠ない非難が目立ち、中国の動きを主観的に憶測し、中国にあれこれと指図し、中国に強い「警戒感」を示すものとなっている。中国が昨年11月に東中国海上空に防空識別圏を設けたことについては「現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねない」と批判。防空識別圏を飛行する航空機に中国が自国の規則を強制しているとし、「公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害している」としている。5月から6月にかけて中国軍機が相次いで日本の自衛隊機と「異常接近」したとされる事件についても、事実をねじ曲げて触れている。さらに中国が東中国海と南中国海で行っている合法的権益の維持のための通常の巡航活動についても、「国際法秩序とは相いれない独自の主張に基づき、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える対応を示している」と根拠なく攻撃している。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所研究員)
2014年版の防衛白書は、集団的自衛権容認の閣議決定後初の防衛白書となる。日本が今回の白書に、事実を歪曲し中国を攻撃する内容を盛り込んだことには、以下のいくつかの意図があると考えられる。
第一に、日本国内の民衆と世論の注意をそらし、集団的自衛権の容認のための口実を外部に求める。安倍内閣による集団的自衛権容認は日本国内でも大きな反響を呼んでいる。集団的自衛権容認をめぐっては、日本の政界と民衆は、対立する二つの陣営に分かれている。一つは、安倍首相を筆頭とする右翼保守陣営で、集団的自衛権の解禁を強く支持している。もう一つは、日本共産党や社民党などの野党と多くの民衆からなる陣営で、集団的自衛権容認に反対し、日本が再び軍事大国となることを拒否し、戦争への危険な道を日本が再び取ることに反対している。日本の民衆と世論の圧力は安倍政権も軽視できない。安倍内閣の支持率はすでに大きく下がっている。支持率を維持し、政権を守るためには、集団的自衛権の容認が必要であると日本の民意を惑わすことのできる理由を見つけなければならない。「外部の脅威」、特に「中国の脅威」をあおることは、安倍政権が民意の圧力をそらす最も有効な手段の一つとなっている。
第二に、日本の軍事産業の発展と輸出を促進・支援する。日本は4月、武器輸出を可能とする新たな「防衛装備移転三原則」を打ち出した。だがこの措置は、集団的自衛権容認と同様、日本が戦争に巻き込まれるのではないかという民衆の不安を呼び、武器輸出拡大という方向は民意の反発を招いている。民衆のこうした声を打ち消し、軍事産業の発展と輸出拡大を実現するため、日本は中国を利用している。「中国の脅威」という口実は、日本の軍事産業発展と輸出加速に説得力を与える。「中国の脅威」が高まっているとなれば、日本が軍事産業の盛り返しをはかり、先端的な武器の製造や輸出を加速し、西側同盟国との最新鋭の兵器の共同開発を加速し、「国家の安全」を守ろうとすることも自然な流れとなる。