中国の著名な作家、外国文学研究者、翻訳家の楊絳(よう・こう、本名・楊季康)さんが25日夜中1時、北京市で死去した。105歳だった。同日、北京の清華大学の学生は楊さんの死去に哀悼の意を示した。
辛亥革命が起きた1911年に生まれた楊さんは、名門の出身で、文学の才能に恵まれていた。そして、文学における才能を存分に発揮しただけでなく、著名な文学者・銭鐘書氏と結婚し、幸せな生活を送った。銭氏は生前、楊さんについて、「最も才能があり、最も良い妻」と称賛していた。
1953年、楊さんは北京大学文学研究所、中国科学院文学研究所、中国社会科学院外国文学研究所の研究員となった。主な文学作品には、「洗澡」や「『幹校六記』--文化大革命下の知識人たち」などがあり、2003年には、最愛の娘と夫との数十年の生活を振り返る「私たち三人」を出版。96歳だった08年には「走到人生辺上・自問自答」を出版した。
楊さんは北京大学文学研究所で研究員を務めていた期間、「1939年以降の英国散文集」、スペインの下層階級出身で社会寄生的存在を主人公とした小説「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」、フランスの作家・ルサージュの長編小説「ジル・ブラース物語」などの中国語訳も手掛けた。
英語とフランス語に通じている楊さんは、スペインの古典小説「ドンキホーテ」を正確に翻訳するために、スペイン語も学んだ。楊さんが翻訳した「ドンキホーテ」は、傑作として認められ、これまでに計70万冊以上販売。中国語に翻訳された書籍としては最も売れた書籍となっている。1978年に同書が出版された際、スペインの国王が中国に訪問している時で、トウ(登へんにおおざと)小平氏が同書を国王にプレゼントした。訳文として読みやすく、詳しい注釈がついている同書は、中国国内で人気となっただけでなく、スペインでも高く評価された。そして、楊氏は、スペイン国王より文化勲章にあたる「アルフォンソ十世勲章」を受章した。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年5月26日