村上春樹の作品における歴史観
実際に、村上氏は過去にもさまざまな場で侵略戦争や日本がそれについて謝罪しなければならないという考えを述べている。2015年に安倍晋三首相が「戦後70年談話」を発表する前に、村上氏は「東京新聞」の取材に対して、「歴史認識の問題はすごく大事なことで、ちゃんと謝ることが大切だと僕は思う。謝ることは恥ずかしいことではありません」と語っていた。
村上氏の作品において、中国を侵略した旧日本軍の横暴を指摘したのは「騎士団長殺し」が初めてではない。村上氏の初期の作品で1994年に出版された「ねじまき鳥クロニクル」の中でも、村上氏は登場人物を使って旧日本軍が中国侵略戦争で行ったさまざまな残虐行為について触れている。
武漢大学博士課程の指導教授である李聖傑氏はかつて早稲田大学で日本文学を研究したことがあるという。李氏は取材に対して、「村上氏の作品が描いている社会や歴史問題に対する関心は、一種の発展や延長の過程だ。『風の歌を聴け』などの初期作品の中で、村上氏は完全に自分だけの世界に入り込んでおり、作家の大江健三郎氏も、村上氏が社会に全く関心を示していないことに対して批判や疑問を持っていた。しかし、1995年に東京で起きた地下鉄サリン事件が村上氏に大きな衝撃を与え、それ以降、村上氏は作品に社会性を重視するようになった。この特徴は、村上氏の『1Q84』や『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』などの近年の作品にも現れており、日本社会のタブーにも触れている。今回の新作で歴史問題に触れたのは、村上氏のこのような関心事や思考の延長にすぎず、日本の右翼勢力が言っているような、突然のシフトチェンジやノーベル文学賞を狙っているというのではない」との見解を述べた。(編集YK)
「人民網日本語版」2017年3月7日
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