実際には、日本には保育士の資格を有していながら保育士として働いていない人が70万人以上いる。つまり、日本では、資格ある保育士が足らないのではなく、保育士に保育所で働きたいと思わせる政策が不十分なのだ。「毎日新聞」の評論によると、長年、日本の政府、自治体が打ち出している保育士の待遇を改善する政策は、絵に描いた餅か焼け石に水。保育士の待遇は他の業界に大きく及ばず、多くの人は保育士の資格を持っていてもこの業界に入りたいという気持ちが起きないのが現状だ。そして、保育士として働いている人は、長期にわたって重圧がかかる状態になっている。そうなると、保育士不足という問題が一層深刻化するばかりだ。
日本の現行の制度では、保育所は児童福祉施設に分類されるため、ほとんどの保育所は、公立で、保育料が安く、大きな財政支援を受けている。しかし、近年、十分な財政を確保できない状況になっているため、日本政府は一般機関に保育所を経営するよう促し、待機児童問題の改善に取り組んでいる。それでも、保育所の立地条件や保育士の人数、保育のクオリティなどを監督・管理する面で、政府の関連当局には人材が不足しており、私立の保育所が建設できない、経営状況が悪い、管理が行き届かないというケースが増えている。そして、待機児童問題の解決にはつながっていないというのが現状だ。
子育て安心プランで、日本政府は18年から、待機児童の解消に必要な約22万人分の予算を2年間で確保し、遅くとも3年間で全国の待機児童を解消するとしている。また、子供がいても働く女性が今後も増加することも見込み、22年までに、その数を10万人追加するとしている。これに対して、陳教授は、「目標を達成できるかは、日本政府が総合的な政策リストと必要な予算を準備することが絶対条件。しかし、各種社会福祉が財政の悪化に拍車をかけており、日本政府が待機児童問題を解決するためにどれだけの予算を算出できるかには、大きな疑問が残る」と指摘している。
また、藤野氏も、「日本の各政党は選挙戦で、『待機児童問題の迅速な解決』を叫び、当選を狙っているが、待機児童や児童の貧困、少子化などの問題を国の将来の運命を握る大きな問題と実際に見なしている政党はほとんどない。そのような状況が根本的に変わらないのであれば、『待機児童ゼロ計画』の達成は、また遅れることになるだろう」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年8月11日
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