公開されている情報によると、現在、米国の対中国輸出は年間1300億ドル(1ドルは約105円)に達している。特に、米国は中国に大量の大豆を輸出しており、前期は年間146億ドル相当の大豆を輸出した。また、米航空機メーカー・ボーイングにとっても中国は「超お得意様」だ。例えば、15年、中国はボーイングと総額380億ドル相当の契約を交わした。17年の中国市場への販売額も約120億ドルと、ボーイングの売上全体の約13%を占めた。
中国国際金融の首席経済学者・梁紅氏は、「米国の保護貿易の姿勢に対しては、対応策のほか、中国は、開放を拡大したり、輸入の需要を向上させたりと積極的な対応もできる。改革開放(1978年)以降の経験から見て、開放拡大政策は中・長期的に、産業の国際的競争力を向上させ、国内の優秀企業を誕生させるのにつながる」との見方を示した。
被害者は誰?
清華大学(北京)国家金融研究院の朱民・院長はフォーラム参加中に取材に応じ、「貿易戦争が一旦始まると、両国の商品のコスト、価格、流通に変化が起きる。私個人は、世界の産業チェーンに4000億ドル以上の損失をもたらすと見ている」と述べた。
ローレンス・サマーズ氏は、「核戦争に勝利者はおらず、それを起こすことできない。貿易戦争もそれと同じだ」と警笛を鳴らす。
外資系資産運用会社のモルガン・アセット・マネジメントの世界市場戦略家であるハンナ・アンダーソン氏は、「貿易戦争が世界に与える影響は、まず株式市場への影響。その影響を一番受けるのは米国と韓国だろう。なぜなら、それらの市場で上場している企業は、中国の輸出商品を生産する世界チェーンにおいて大きな部分を占めているからだ。米国ではその影響を一層強く感じ、消費者にとっても、生産者にとっても、値上がりを感じることになるだろう」と予測した。
中米の貿易摩擦に関して、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は中国発展フォーラムで、「米国と中国の双方が、自由貿易から利益を得ることができるが、不均衡という問題も存在しているのかもしれない。全ての人が不均衡という問題に本当の意味で目を向け、その原因を見つけ出し、それを解決することに取り組むことを願っている」と、冷静な対応を呼び掛けた。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年3月27日
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