米国防総省が5日公表した報告「米国の製造業、国防産業基盤、サプライチェーンの弾力性の評価と強化」は、米国の国防産業が280品目以上の製品のサプライチェーンを外国に深刻に依存しており、特に中国のレアアースと部品への需要が高いため、米国の国防安全に必要な材料への影響において「北京は重大なリスクだ」と主張した。これは「中国脅威論」を強化する最近の米国による新たな荒唐無稽な言い分だ。
報告の公開版には「中国」「中国人」「北京」という言葉が232回出てくるが、「ロシア」は1回のみだ。報告は「中国は弾薬とミサイルに使用するいくつかの特殊化学品の単一、さらには唯一の供給国だ」と強調した。
■西側同盟国への依存の方が多い
西側メディアは米国防産業の中国への依存性により注目するが、環球時報は同報告から、中国の提供する一部基礎材料と比べ、米国は西側同盟国の先端材料・技術への依存の方が大きく、その代替不能性もより強いことに気づいた。
報告の公開部分には米国防産業基盤の具体的弱点について詳しい説明はないが、少なからず事例を挙げている。
例えば日本と欧州の生産する「独特で独占的」な炭素繊維は単一外国製であり、米国防産業のサプライチェーンの脆弱性を示している。
環球時報の取材に中国の専門家は、全体的に見て、中国の提供する基礎材料と比べ、米国は西側同盟国の技術への依存の方が多いと指摘した。米国防産業はメモリチップ、電子スイッチに使用するシリコン、偵察衛星その他軍事装備に使用する精密ガラス、液晶、発光型ディスプレーで外国の供給に深刻に依存している。
■対外依存を誇張
中国の専門家は、経済グローバル化の現代において、他国に依存せず自国だけで整った工業システムを持てる国はないと指摘する。実は、米国防産業の対外依存が注目されたのもここ数年のことではない。1980年代中頃、米議会対外依存合同監督委員会は調査の結果、空対空ミサイル「スパローIII」の部品16種が外国製であることに気づいた。冷戦時に米国がソ連を偵察した戦略偵察機SR-71のチタン合金製材料にいたっては、ソ連産のチタン鉱石に依存していた。
また、米軍の対外依存、特に中国の原材料と部品への依存は若干誇張されている。中国のレアアースが世界の市場に占める割合は比較的大きいが、米本土にも非常に大きなレアアース埋蔵資源があり、「中国からの輸入品の方が価格が低い」に過ぎない。
米軍側も外国の供給源に依存することのリスクについて評価を続けてきた。過去の複数の評価はいずれも、米国防産業は対外依存度が比較的低く、リスクは制御可能であるうえ、ほとんどは低レベルの原材料や部品であり、「首を絞められる」のは考えがたいことを示している。これは米国防総省の最新報告の結論と明らかに反対だ。
米国は外国に依存しているが、それより多くの国々が米国の技術に依存している。こうした構造も米国防産業が「首を絞められない」ことをある程度保証している。中国の専門家は、米国防産業はまさにこのように「優れた物を外国から広く集める」ことで、初めて高性能と比較的低コストを両立させているのだと指摘する。米国防産業システムにとって真の脅威は製造業の衰退によるものだ。米海軍研究協会ウェブサイトは5日、米国の造船業が人材流失、市場流失、競争力不足、財政危機、設備老朽化などの問題に直面しており、すでに米国の将来の艦艇建造計画に深刻な影響を与えていることを認めた。「米国の造船会社が倒産する時、これらの産業は海外へシフトし、米海軍が外国、さらには競争相手国に依存せざるを得ない局面をもたらした」。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年10月9日
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