今年に入り米国の仕掛けた「貿易戦争」はヒートアップし続けており、続いて経済問題が政治問題に変わりつつあることに人々は気づいた。
中国人科学者への訪米ビザ発給の度重なる拒絶、FBIによる中国系科学者への頻繁な捜査、そして「中国人留学生への全面的なビザ取消」の噂。米国から伝わる様々な情報に、多くの人は「マッカーシズムの暗い影が再び米国を覆う」ことを懸念している。
ペンス米副大統領の最近の演説に人々は驚愕した。そのいわれなき非難と悪意ある中傷は、中米関係をどこへ向かわせるのだろうか?
ペンス氏は演説で「競争は常に敵意を意味するわけではない」と言明したものの、残念な事にわれわれは演説の大部分が敵意と敵視の産物であることを目の当たりにした。
ペンス氏は、「巨額の対中貿易赤字」によって米国が「過去25年間にわたり中国の再建をさせられてきた」との認識を示し、一方が買う事を望み、一方が売る事を望むのが自由貿易の本質であることは故意に回避した。中米貿易を理解している人なら誰しも、米国の繁栄も中国の急速に成長する経済と巨大な消費市場のおかげであることをよく分かっている。今年6月にドイツ銀行が発表した研究報告は、中米貿易の過程で実は米国は中国よりも多く商業純利益を得てきたとの認識を示した。
遺憾な事に、経済グローバル化の今日にあってなお米国が「ダブルスタンダード」であることを、われわれは目の当たりにしている。
ペンス氏は中国の軍艦が米国の軍艦を排除したことを非難する一方で、米軍艦が中国の南沙(英語名スプラトリー)諸島から12カイリ以内の海域に入ったことには言及しなかった。南中国海を「軍事化」していると中国を中傷する一方で、米国がこの地域で大々的に軍事演習を実施し、大量の先進兵器を南中国海に持ち込み、しかも新たな軍事基地の構築を続けていることには言及しなかった。
ペンス氏は「現在の中国の軍事費はアジア太平洋地域の全ての国々の総和を上回る」と述べる一方で、2019会計年度の米国の軍事費が7000億ドル以上と「史上最高」に達したのみならず、他の大国の総和も上回ったことには言及しなかった。
ペンス氏は「中国は米国に対する浸透とコントロールの触角を、すでにハリウッド、大学、シンクタンク、企業、さらには地方政府にまで伸ばしており、経済、学術、世論、及び政治の全方面から影響力の行使を試みている」と大げさに強調してみせる一方で、中国の内政と外交に干渉し、中国の改革開放、「メイド・イン・チャイナ2025」や「一帯一路」イニシアティブにあれこれ口出しした。
「中国は米国の世論、2018年の選挙及び2020年の大統領選前の環境に影響を与えようと、未曾有の行動を起こした」との告発にいたっては、中国にとって全くわけが分からないだけでなく、ニールセン米国土安全保障長官でさえ10月3日に「中国が2018年の米中間選挙の結果の破壊または改変を試みている証拠は現時点でない」と表明している。
中国人全体が「悪者扱い」されつつある事が懸念される。米国に留学したり、働く中国人、さらにはすでに米国籍を取得した中国系住民でさえ、中国の友人に電子メールを書く時、細心の注意を払っている。彼らはすでに非難と排斥の対象となっており、注意しなければすぐに「各種スパイ活動に携わっている」と思われるからだ。すでに「この国に来たほぼ全ての学生はスパイだ」と公の場で言い立てた米政界要人もいる。
英国の学者マーティン・ジャックス氏は「米国の煽動的、侵略的な反中言論が増える中、中国は極めて強い忍耐、尊厳、冷静さを示している」「中国も米国のやり方を模倣して対抗した場合、中米関係は『自由落下』式に下降し、全世界に深刻な結末をもたらす」と直言する。
われわれは米国が「再び偉大になる」ことを歓迎するが、この偉大さは米国一強を基礎に築かれるべきものではなく、ましてや他国への抑圧を基礎に築かれるべきものでもない。
中米が外交関係樹立に関する共同コミュニケを発表してから今年で40年になる。中国の若い世代は、中国と米国の発展は双方にとって利益があると信じている。両国が向き合って進むことは、互いにとっても世界にとっても多大なプラスのエネルギーだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年10月9日
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