第2に、ECとコンビニが「ラストワンマイル」を激しく争う。現在、コンビニの主力商品である缶飲料をめぐってはそれほど多くの競争者が存在しないが、利便性をめぐってはすでにライバルが登場している。消費者はモバイル端末を使って商品を注文できるようになり、コンビニに行くよりも便利に買い物ができる可能性が広がった。またコンビニは現時点では「ラストワンマイル」の役割を担い、消費者はコンビニで宅配を受け取れるが、よくみれば全国の宅配量の5%をまかなうに過ぎない。物流産業が宅配ボックスをさまざまな場所に設置するようになれば、消費者は近所のボックスで荷物を受け取るようになり、コンビニのサービス機能に間接的な影響が出ると予想される。
第3に、ドラッグストアがシルバー市場を奪いつつある。超高齢化社会ではますます多くの高齢者がより便利な医薬品受取サービスを必要とするようになることを見越して、多くの小売業界が小規模なドラッグストアチェーンに次々出資し、小売店舗とドラッグストアが融合した店舗を展開している。しかし同じビジネスチャンスを見据えて、ドラッグストア大手も都市部を出て、郊外へも進出し、薬剤師の訪問サービスを提供するほか、店舗では時に小売店舗よりも安く日用品や食品を販売する。このような流れの中、コンビニの市場シェアはさらに奪われることになる。
▽AIが特効薬になるか
日本セブンイレブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの井坂隆一社長は4月初めに、「セブンイレブンは今年は『店舗オープン』から『既存店の強化』に重心を移す」と発言。計画によると今年の新規店舗開設数は850店にとどまり、昨年より500店舗減少と大幅に減るという。また既存店舗への投資を増やし、セルフレジ技術を発展させるという。
店舗開設数を思い切って減らし、セルフレジ技術に投資し発展をはかっても、ファミリーマートやローソンに比べて、セブンは人工知能(AI)に関して明らかに後れを取っている。
4月2日には、ファミマとパナソニックが提携して「次世代型コンビニ」を打ち出した。このスマートコンビニにはモノのインターネット(IoT)技術とAI技術が大量に採用され、これには価格を自動変換できる電子タグ、顔認証による決済など人手を節約した低コストの各種自動化技術が含まれる。
日本のコンビニでは自動化技術に最も積極的なローソンは、16年という早い時期にパナソニックと提携し、セルフレジ機能を採用したスマートコンビニ技術を試行し、無人店舗の目標に向かって一歩ずつ進んできた。昨年10月に行われたエレクトロニクス分野の国際展示会CEATEC JAPAN2018では、バーチャル店員による接客、RFID技術(近距離で無線通信により情報をやりとりする技術)によるセルフレジの実現、餃子を製造できるアーム型ロボットなどの技術を展示。計画では今年7月より、一部の店舗で深夜の時間帯にこうした技術のテストを行い、人手不足と長時間労働の改善を目指すという。