中国のレアアースはなぜ世界の戦略資源になったのか? (2)

人民網日本語版 2019年05月31日10:16

▽米日欧が中国のレアアースを「買いたたき」

世界のハイテク電子、レーザー、通信、超伝導などの材料ニーズが幾何級数的に増大すると同時に、米国や日本などの先進国がレアアースの技術革新を絶えず拡大して、レアアース資源に依拠した大量のハイテク軍事装備や生活消費財を打ち出し、またレアース資源の戦略的備蓄の歩みを加速させている。

1990年代には、米国、オーストラリア、カナダといったレアアース資源を保有する国が自国のレアアース鉱山の開発を制限したり停止したりする政策を実施し、転じて中国から輸入して戦略的備蓄を行っていた。米国の埋蔵量は1300万トンで世界全体の約10%を占め、相対的に豊富だが、米国は自国の鉱山を開発せず、それどころか自国最大のマウンテン・パス鉱山を閉鎖し、モリブデンの生産とその他レアアースの採掘を全面的に停止し、中国から毎年大量に輸入して戦略的備蓄を行っている。

その結果、現在では米国や日本などが購入し備蓄する高品質の単一レアアースは少なくとも20年分の工業生産をまかなえるほどの量があり(40年以上と伝えるメディアもある)、先進国の資源貿易企業と資源生産企業が国際レアアース価格を完全にコントロールするようになった一方で、中国のレアアース埋蔵量が急速に減少している。

中国がレアアースの採掘の規範化や環境保護などを考え、相応の輸出割当措置、輸出制限措置などをとってレアアースの輸出量を減少させると、米日欧は次々にじっとしていられなくなり、09年には中国の原材料輸出規制を世界貿易機関(WTO)に提訴した。

「世界が一年で必要な(レアアースの)量は12万トンに過ぎず、非常に少ない量であり、さらにこのうちの多くの部分が戦略という将来ビジョンをもつ国により備蓄されている……本当に(レアアースが)必要な一部の応用に強い国はとっくに中国のレアアースを低価格で買い入れて大量に備蓄しており、現在の中国のレアアース調整コントロールがこうした国々にとって根本的な脅威になることはない。こうした国々は大騒ぎして中国を押さえ込み、実際には中国に引き続き不合理な低価格でレアアースを供給させると同時に、中国の独自の優位性を備えた戦略的資源を消耗させたいのだ……これこそまさにレアアース輸入大国たちが中国と渡り合うときの手段だ」と指摘する学者がいる。

米国の経済戦略研究所(ESI)のクライド・プレストウィッツ所長は、「中国のレアアース輸出制限の長期的経済戦略は大口商品の純粋なサプライヤーという立場から抜け出し、高付加価値で、技術のウェイトが高く、技術熟練度の高い製品の生産に転じたいからだ。歴史を振り返ると、英国も米国もこのようにやってきた。このようなやり方で豊かになった国が今、同じような状況をルールに合致しないとしているのは、どう考えてもおかしな道理だ」と指摘した。

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