高齢、少子、失業、非婚、都市化がこんな人々を作り出している。人と関わらずに暮らし、孤独な状態、空虚な状態が当たり前という独居の人々だ。こうした人々はますます増えており、そこからさまざまなサービスも生まれ、徐々に「孤独経済」を形成している。彼らの感情面のニーズや物質的なニーズは市場を通じてある程度満たされているが、「空の巣青年」が独居老人になった時、彼らはやはり乗り越えるのが難しい老後生活という関門に直面することになる。
▽家族もレンタルできる? 日本で「孤独経済」がますます盛んに
休日に、友人と3-5人くらいで集まったり、家族と一緒に夕食を食べに行ったりするのは、ごくごく普通のことだ。しかし長らく一人暮らしをしている人にとっては、実現が難しい光景だ。感情面の強いニーズが市場を活性化し、最近の日本には「レンタル友だち」や「レンタル家族」まで生まれている。
西田一成さんは東京に暮らすサラリーマンで、よく「妻」や「娘」と一緒にご飯を作り、一緒においしいものを食べ、楽しく過ごしている。ただこの「妻」と「娘」はレンタル会社から借りてきた人たちだ。本当の妻は病気で亡くなり、2人の娘はそれぞれ自分の生活があり、離れて暮らしている。
日本の国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表したデータによれば、日本の独居人口は増加を続け、独居率は35%にも達した。東京の20-50歳の人口の半分近くが一人暮らしをしている。
独居人口の増加はさまざまなサービスを生み出し、「レンタル家族」以外に、ラーメン店や回転寿司店にも一人用の仕切りがあり、1人火鍋、1人ラーメン、1人コーヒー、1人カラオケなどもあり、1人ウェディングフォトまである。「孤独経済」は今や日本で普及しつつある業態だ。
▽日本は徐々に「孤独死大国」へ
別のデータによると、日本は少子化、高齢化の進行にともなって、独居人口に占める高齢者の数が急速に増加している。一人暮らしの高齢者は600万人に迫り、35年には世帯の30%以上が単身世帯になるという。
毎年多くの独居者が誰にも看取られず孤独のうちに亡くなり、「孤独死」と呼ばれている。東京都監察医務院のまとめた統計では、16年に東京で孤独死した65歳以上の高齢者は3175人にも上った。04年は1650人に過ぎず、12年でほぼ倍増した。
孤独死はしばしば発生し、そこから「特殊清掃業」という新業態が生まれた。通常は住宅の管理人や死亡した人の親族の委託を受けて、孤独死があった部屋を清掃・消毒し、遺品を整理する。孤独死が起きると、その部屋は大変な状況になることが多く、作業員は特殊な薬品や殺虫剤などを使って清掃し、作業時には感染予防のための防護服を着る。
▽独居高齢者が新型独居生活にトライ
独居生活の不安をどうやって解消するかが、いかに老後生活を送るかが多くの独居高齢者に共通の課題だ。神戸市では平均年齢76歳の7人の女性たちが、独居生活をひと味違ったものにしようとがんばっている。
女性たちには結婚したことがない人もいれば、故郷を離れて一人で暮らしてきた人、仕事に全力投球してきた人もいる。お互いにサポートし合うため、4年あまりかけてとあるマンションを見つけ、今ではそのマンションの部屋に分かれて暮らしている。お互いの個性と独立性を尊重するため、普段はドアを閉めて各自のスタイルで暮らしているが、7人の結束はかえって深まったという。女性たちはこのやり方を「近居」といい、自分たちを「個個セブン」と呼ぶ。
7人の1人である安田香珠子さん(82)は心理カウンセラーで、今はほとんどの時間を家で過ごし、電話やメールで全国各地のコンサルタントに心理カウンセリングを行う。「(7人は)みんなそれぞれ仕事があり、ほとんどの時間は自分のことをしていて、用事がなければ普段は顔を合わせない。何かあればお互いに助け合えるので安心感がある」という。
安田さんは仕事について、「できれば動けなくなるまで働きたい」という。ただ今の「近居」スタイルは心理的に大きな安心を与えてはくれるが、この生活をずっと続けるのは難しいこともわかっているという。
安田さんは、「もう少し年を取った時のことを考えると、自分はかなり高齢になっているし、病気になったら仲間たちはお見舞いにはきてくれるけれど、私の世話は無理だと思う。そうなった時は専門の人にお願いしようと思う」と話した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年6月12日