大白兎ミルクキャラメルなど老舗が若者に大人気の理由は

人民網日本語版 2019年06月10日15:48

特に何の前触れもなく、老舗お菓子の「大白兎ミルクキャラメル」が突如ネットで大人気の商品になった。メーカーの方冠生園(集団)有限公司はこのほど、時流に乗って大白兎ミルクティを打ち出した。上海のショッピングセンターに登場したポップアップ・ストア「大白兎ミルクティ店」では行列の待ち時間がややもすると4-5時間になることもあるという、他の人気ミルクティを大幅にしのぐ勢いだ。「中国青年報」が伝えた。

老舗の大白兎ミルクキャラメルの人気は、決して偶然ではない。似たようなケースにスニーカーの回力鞋、永久ブランドの自転車といった老舗の復権がある。同じ作り方、変わらない味わいの歴史ある老舗たちは、消費モデルが多種多様化する時代にあっても、どっしりと存在感を放ち、人々に喜びや楽しさ、興味や物珍しさを感じさせる。親世代以来の、さらには祖父母世代以来のブランドに、一体どのような魔力があり、好みのうるさい若い世代の消費パワーを引きつける力があるのだろうか。

消費者が老舗を好む理由の1つは無論製品の品質が安定していることにある。大白兎は口に入れた時の味わいや食感がいつも同じで、消費者は期待を裏切られることがない。消費スピードが速い世代の消費者は、商品選びにあまり時間をかけたがらないため、影響力と信頼度の高い商品が自然と注目を集めることになる。

とはいえ、品質の安定だけでは、若い人が老舗ブランドファンの仲間入りしたことを十分に説明できない。老舗を好む若者のほとんどが「情怀」(情感)という言い方をする。「情怀」それ自体にはプラスの意味もマイナスの意味もないが、現代の言語環境では、かつての暮らしに対する懐かしさや名残惜しさを表す場合によく使用される。「情怀」のある人とは、新しいものが好きで古いものをいやがる人ではなく、ある種ざわついた社会の空気の中、人格と品性にプラスの面をもつ人を指す。

しかしよく考えてみると、90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)の消費者が生まれ育った時代に、老舗たちは最盛期に別れを告げている。市場経済の発展プロセスとともに成長してきた今30歳以下の若者は、多くの商品がアップデートを繰り返し、新しいこと・ものが古いこと・ものに取って代わる様子が印象深い記憶として残っている。

年代という点で、大白兎ミルクキャラメルが若者の親世代によりなじみの深い商品であることは間違いない。「一番年長の若者」である90後にしても、計画経済の時代の記憶はなく、家の中にある黄ばんだ昔の糧票(食糧配給切符)はアンティークグッズに映り、物質的に貧しい時代に老舗の商品が暮らしの中でもっていた意義を体感したこともない。

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