有人潜水艇「深海勇士」、海底の「サンゴの墓場」を発見

人民網日本語版 2019年07月26日14:40

「素晴らしい!」。9時間近い水中作業を終え、同済大学海洋地質国家重点実験室の李建如博士が潜水艇から出てきた。李氏は有人深海潜水艇「深海勇士」による2回目の潜水作業で、科学者らにサプライズをもたらした。これまで見たことのない「サンゴの墓場」が見つかったのだ。科技日報が伝えた。

李氏は「潜水艇が通過した海底高地の頂上部の直径約200メートルの範囲内に、死んだサンゴの骨が積み重なっていた。その水深では、冷水サンゴが元気に育っていた。これほど多くの冷水サンゴが死ぬとは、そこで何が起きたのだろうか」と話した。

冷水サンゴ林は深海勇士による昨年の重大発見で、本航行段階の科学観測の目玉となった。同済大学の汪品先院士は昨年5月、82歳の高齢で潜水作業を行い、冷水サンゴ林の存在を初めて確認した。水深1000メートル以下の深海には多くのサンゴ林が密集している。一部は基礎となる岩盤に付着し、高さが4−5メートルに達していた。海綿動物、イソギンチャク、ナマコ、エビやカニなどの生物がその中で生活していた。

TS12第2航行段階首席科学者の翦知湣氏は「昨年は沈没した水深の浅いサンゴ礁を観察するはずだったが、意外にも多くの生きた深海サンゴ林が見つかった。今年も深海潜水を継続し、各種海水パラメータを測定し、多くのサンゴの試料を採取し、今後の研究に用いる」と述べた。

冷水サンゴ林は、海底冷水湧出帯、熱水噴出孔と並ぶ深海で3番目の生態系だ。同済大学海洋地質国家重点実験室の党皓文研究員補佐によると、冷水サンゴは種類が豊富で、その体と骨には深海の環境変化の重要な情報が記録されている。冷水サンゴ林に分布する「竹節柳サンゴ」を例にすると、このサンゴの骨は竹の節の形をしており、これを横に切ると、その断面には木の年輪のように年代情報が記録されている。中心から周辺に向かうにつれ新しくなる。これは海洋の環境変化の「データバンク」だ。翦氏は「十分な量の試料を採取し、長い期間のものが得られれば、各年代のサンゴの情報を一つに合わせることで、冷水サンゴの深海編年史を作ることができる」と述べた。

本航行段階で初めて潜水に参加した党氏によると、水深1000メートル以下の冷水サンゴ林にはサメが出没することもあるという。「それは驚きの光景だった。サメは海のトップクラスの捕食者で、生態系のピラミッドの頂点に立つ存在だ。サメが出現したことは、冷水サンゴの生態系が複雑かつ多産であることを十分に説明している」(編集YF)

「人民網日本語版」2019年7月26日

  

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