キャビン内のキッチンで乗客の機内食を準備する方冠尹さん(撮影・殷立勤)。 |
方冠尹さんは、台湾地区・台北市出身の1990年代生まれの女性だ。まだ若いながらも非常に豊富なキャリアを持っている。2017年春節(中国の旧正月)、彼女は上海で、吉祥航空が第一陣として採用した台湾人客室乗務員の一人となった。中国新聞網が伝えた。
方さんは1日、他のCAとともに、控室で搭乗前の準備ミーティングに出席していた。この日、彼女は上海虹橋空港・成都双流空港間の往復フライトHO1097/1098便に乗務することになっていた。乗り込む機体は、吉祥航空が最も新しく導入したボーイング787ドリームライナーだった。
台北での安定した職を離れ、上海でCAの仕事に就いたことについて、方さんは少しも後悔していないという。
吉祥航空は2016年11月、台湾で客室乗務員を募集した。台湾で社員募集を行うのは同社にとって初めての試みだった。この募集が大きな話題を呼び、応募者は千人を上回った。何段階にも及んだ厳正な選抜試験を経て11人が合格し、上海でCAとして採用された。方さんもそのうちの一人だった。
方さんは当時の自分の選択について今も満足している。方さんは、「それまでとは違った生活をしたかった。また、より多くのチャンスに挑戦したかった。大学では医療マネジメントを専攻し、卒業後は政府の行政専門員になった。でも仕事のストレスが非常に大きかったし、人と接することが大好きだったので、試してみようという気持ちで応募した。もしかしたら、人と交流するのが好きだったからこそ、夢を実現することができたのかもしれない」と話した。
「毎日の乗務は多かれ少なかれ疲れるが、毎回同僚と一緒に働くことができて、気分的には非常に楽しい。乗務員の生活は、新鮮で面白みがある」と方さんは続けた。
方さんは、上海で働き始めたとき、同僚のスマホのフートデリバリーアプリや微信(WeChat)、支付宝(アリペイ)などのオンライン決済アプリにとても驚いたという。これらは、彼女が想像していた上海での生活をはるかに超えるものだった。スマホ1台あれば、上海で生きていける。何一つ知らなかった彼女は、少しずつ理解を深め、上海をよく知るようになり、上海という都市が好きになっていった。今では、台湾両岸の言葉の習慣をほぼ理解し、大陸部各地のグルメも大好きになった。ちなみに、彼女の大好物は、上海の小楊生煎(焼き肉まん)だそうだ。
仕事の関係で、方さんが実家にたびたび帰って家族団らんを楽しむことは難しい。だが、彼女にとって、両親が背中を押してくれたからこそ、後顧の憂いはなくなったという。「今日仕事が終わったら、台北に戻って両親や妹と一緒に週末を過ごします」と、彼女はにっこり微笑みながら言った。
今年は、方さんにとって3年間の雇用契約の最終年となる。今後の予定について方さんに尋ねると、「上海でCAの仕事を続けるつもり。ここは私にとって第2の故郷だから」という答えが返ってきた。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年8月2日