上海市では、7月から正式にゴミ分別が実施されている。3億5800万人のフードデリバリーユーザーを抱える中国では、「フードデリバリーゴミ」が都市の生活ゴミのうち重要な構成部分となってるため、ゴミ分別の成否のカギを握る戦いの場にもなっている。以前、あるネットユーザーは「ゴミ分別でフードデリバリーが減る」としていたが、フードデリバリー大手の餓了麽(Eleme)と美団の提供したデータを見るかぎり、そのような現象はみられない。特に今の季節のサウナに入っているような酷暑には、外食や自炊よりフードデリバリーを頼むほうが便利だ。だが喜ばしいことに、ゴミ分別は人々のフードデリバリーを頼む習慣までも変えつつある。
最も直観的にそれが感じられるのは、「食器は不要」というコメントのついた注文が急増していることだ。報道によると、餓了麽のビッグデータでは、上海でゴミ分別新規定が施行されて以来、7月1-24日の食器不要の受注は前月比で476%増えた。美団のデータでは、上海で7月にユーザーが自ら食器は不要だとした注文数は6月より4倍以上も多かったという。
興味深いのは、自ら食器不要とする以外にも、「どうやってフードデリバリーを頼めば面倒が減るか」について頭を使うようになっている点だ。たとえば、一般的にフードデリバリーの残飯は生ゴミにあたる「水分を含んだゴミ」の回収ボックスに捨てなければならず、デリバリー用プラスチック容器は「乾燥ゴミ」となる。現在、多くのユーザーは注文時に、わざわざ「スープは少な目に」や「タピオカミルクティーのタピオカは10粒だけにして」、「羊肉の串焼きは串なしで」とコメントするようになっている。こうすれば、乾燥ゴミと水分を含んだゴミの分別が楽になるだけでなく、食品ロスを減らし、最初の段階からゴミの発生を減らすことができるからだ。
上海地区全体で、備考欄で「ゴミ分別」に触れていた注文は2万件を突破したという。ゴミ分別はオフラインの世界で多くの家庭に入り込んでいるだけでなく、オンラインでもフードデリバリー族たちの行動習慣になっている。多くの人がゴミ分別がしやすいことをフードデリバリー注文の際に考慮するポイントとして自覚している。
フードデリバリーサービスの提供側である一部のフードデリバリープラットフォームも、こうした変化に対応したサービスを打ち出している。たとえば、フードデリバリー会社が連携してゴミ分別環境保護活動を提唱し、飲食店のゴミ分別とゴミ削減をサポートする動きや、ドライバーをゴミ分別のPR要員として活用したり、アプリ上でゴミ分別相談機能を開設したり、フードデリバリー用容器の回収モデルを模索するといった動きもある。
フードデリバリー業界には整った産業チェーンがある。川上である飲食店で容器の削減や包装の改良を行い、川下で回収・分別と循環利用を行うという整った循環サイクルを作り、科学的な方法と技術を用いて初めて、本当の意味で業界の環境保護化を推進することができる。フードデリバリー業界の新たなトレンドは、私たちにゴミ分別のより広い発展の余地とより多くの可能性も提示している。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年7月31日