鶴、伝説上の神獣・朱雀、祥雲、伝統的な庭園建築物……以前なら現代の流行とは相いれないと考えられていたこれらの中国伝統の要素が現在ではさまざまな商品に取り入れられるようになり、衣料品や化粧品、飲料、食品などが分野の垣根を越えた「中国風デザイングッズ」というトレンドに加わっている。中国青年報が報じた。
ある中国消費ブランド発展報告によると、2018年、あるECプラットフォームでは、「新国貨(中国の伝統的要素を取り入れた中国国産品)」関連のキーワードの検索回数が126億回以上となっている。また、別の中国消費者動向を調査した報告によると、18年、消費者の78.2%が「中国国産品をよく買う」と答えた。そして、中国国産品が人気になるにつれ、中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド「国潮」が広がっている。
「国潮」が台頭
「国潮」には、▽中国伝統文化の要素が取り入れられている▽伝統文化と現在の潮流を組み合わせて商品にトレンド感を出すという2つの側面がある。
コンサルティング業界に従事している女性・張小西さん(仮名、24)は、「数年前、中国のスポーツ用品ブランド・李寧(Li-Ning)の商品は、コストパフォーマンスは高かったが、そのデザインは若者にうけていなかった。それが理由で、大学時代にブランドマネジメントを学んでいた私は研究対象にした」と言う。その時張さんは、李寧がもう少しオシャレなデザインだったら、状況は違っただろうと考えていた。しかし予想もしなかったことに、張さんが大学を卒業して2年後、李寧のウェアは「国潮」の波に乗り、人気ブランドになった。
ノスタルジックファッションのショーやパリのファッションウィークなど、中国のこの老舗スポーツ用品ブランドはここ数年、中国伝統文化の要素を盛り込んだファッションを引っさげて世界に進出している。そんななかで、張さんも「アンチ」から「大ファン」になり、ウェアなどをたくさん購入するようになった。李寧のウェアを着て北京の繁華街・王府井を歩いていると、同じ服を着ている人とよくすれ違うという。多くの若者が自分と同じチョイスをしているのを見て、張さんは今後「国潮」がさらに盛り上がることを期待している。
李寧だけでなく、若いデザイナーのなかにも中国伝統文化の要素をファッションデザインに取り入れ、自主ブランドを作り上げようとする人が増えている。