中国が無重力実験を実施、宇宙飛行士の長期滞在をサポート

人民網日本語版 2019年10月30日14:10

中国宇宙飛行士科学研究トレーニングセンターで、健康な男性36人が頭を低くし足を高くした姿勢で、ベッドの上で90日連続して横たわり、無重力状態を想定した同時実験人数の世界記録を更新し、中国の宇宙飛行士が宇宙で長期滞在するための基礎を固めた。新華社が伝えた。

この「地星2号」実験の正式名称は、「傾斜角6度で頭を下にして横たわる実験」で、中国宇宙ステーション任務の準備期間の厳しい取り組みの一つとなっている。ボランティア36人が90日・24時間連続して傾斜角6度で頭を下にして横たわる姿勢で実験を行った。

このほど厦門(アモイ)で開催された第1回中国空間科学会議で、中国有人宇宙プロジェクト宇宙飛行士システム副チーフデザイナーの李瑩輝氏は「長期的に横になる場合、人体の体液は頭から胸部に移り、足の骨及び筋肉の活動と刺激が減少する。これは宇宙飛行士の無重力状態における身体の変化に似ている」と紹介した。

李氏は、「ベッドに横たわる実験により、宇宙の無重力状態における心血管機能の乱れ、骨の脆弱化、筋萎縮、内分泌不全などの宇宙医学問題を研究できる。長期的な無重力環境の人体への影響に関するデータを収集し、無重力防護措置の有効性を検証できる」と述べた。

実験内容及び各部署の作業は10分間隔で正確に設定された。基礎生理、心血管、骨、心理テストなどの関連指標の現場試験・データ収集を計1万回以上行った。これは宇宙飛行士の軌道上における長期的かつ健康的な飛行に重要データを提供し、宇宙飛行士の健康を保証する各種防護措置を検証することになる。

李氏によると、「地星2号」実験の実施は主に3つの段階に分かれた。これはベッドに横たわる前の15日の実験適応期間、ベッドに横たわる90日、起床後の33日の回復期間のことで、実験全体の期間は140日近くにのぼった。同実験は現在、この回復期間に入っている。

未来の中国宇宙ステーションの完成後、宇宙飛行士の宇宙生活・勤務期間は180日にものぼる可能性がある。そのため長期的な無重力状態の人体への影響、既存の防護措置の効果を十分に把握する必要がある。

中国はこれまで、男性が30・45・60日、女性が15日ベッドに横たわる一連の実験を行った。過去の有人宇宙飛行任務の順調な完了に、科学データと防護プランのサポートを提供した。(編集YF)

「人民網日本語版」2019年10月30日

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