グーグルがこのほどネイチャー誌に掲載した論文は、「量子超越性」の実証を宣言した。筆者が4日入手した情報によると、世界に先駆け超越性基準の研究を開始した国防科技大学コンピュータ学院の呉俊傑氏が率いるQUANTAチームは、信息工程大学などの中国内外の科学研究機関と協力し、量子計算シミュレーションの新たなアルゴリズムを打ち出した。同アルゴリズムはスパコン「天河2号」の試験性能で世界トップ水準に達した。グーグルの研究も同結果のプレプリント論文を引用した。国際的に権威ある学術誌「Physical Review Letters」は現地時間4日、ウェブサイトで同成果を正式に発表した。科技日報が伝えた。
量子超越性は、量子計算装置の特定試験ケースにおけるすべての典型的なコンピュータを超越する計算能力を代表する。量子超越性の実証は、量子計算発展の重要な一里塚だ。超越性基準の評価・測定には、高効率で典型的なコンピュータで動く量子計算シミュレーターが必要だ。ポスト量子超越性時代において、このシミュレーターはさらに量子計算の科学研究を加速する重要なツールになる。
論文の著者で博士課程の大学院生である劉雍氏によると、量子計算シミュレーションの実際の難易度は、量子ビットや量子ゲートの数によって完全に左右されるのではなく、計算過程における量子状態、すなわち量子もつれの程度によって決まる。同研究は量子もつれの程度に基づくシミュレーションアルゴリズムを打ち出し、汎用量子回路シミュレーターを開発した。また「天河2号」で量子超越性の試験ケース、量子回路のランダムなサンプリングのシミュレーションを完了した。実際に49、64、81、100など数の異なる量子ビットの量子回路の異なる深さにおける問題の実例を検証した。計算性能は世界トップ水準に達した。
劉氏によると、量子超越性の実現は量子計算の研究の終点ではなく、そのスタートラインだ。量子計算物理システムの性能を引き続き向上させるほか、騒音システムにおける量子アルゴリズム、量子もつれなどが次の量子計算の研究の重点になる。
同研究は中国長城量子実験室、国家スパコン広州センター、国家自然科学基金委員会などのサポートを受けた。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年11月5日