【解説】陸氏は、「社会の高齢化が進むにつれて、法律・法規、ガバナンスなどを細分化し、高齢化の流れに合わせ、高齢化に対応した考え方、理念を持たなければならない。例えば、多くの都市計画において、信号の設置の仕方は高齢者のことが考慮に入れられていない。そのため、多くの高齢者が道を渡るのに四苦八苦する。また、歩道橋があってもエレベーターがない限り高齢者はそれを登ることができない。つまり、法律、規範、基準を変えなければならないということだ。公共政策は高齢者の権益を考慮に入れるべきで、高齢者差別は存在してはならない」との見方を示す。
【分析】「計画」は未来志向の制度を制定
陸氏は、「過去の関連計画は、5年が期限だったが、今回の計画は、高齢化対応の視野を十数年先に置いている。このような計画は今回が初めてだ。2000年に中国は高齢型社会に入った。しかし、高齢化の影響というのは、5年、10年で現れるものではない。そのため、長期的な視野を持った取り組みが必要だ」と指摘する。
近い時期、中期、長期の3段階は、中国の新時代のいくつかの段階の奮闘目標ともマッチしている。今年10月に開催された中国共産党第19期中央委委員会第4回全体会議(四中全会)では、国家ガバナンス体系とガバナンス能力の現代化が取り上げられ、その中でも高齢化への積極的な対応は重要なポイントだ。ガバナンス制度の制定の上で、国家の安全、経済発展、社会の発展、地政学などはいずれも、大きな戦略的意義がある。
3つの段階において直面し、解決すべき問題も異なる。来年、中国は小康社会(ややゆとりのある社会)に突入し、経済的準備が十分に整っていないうちに、高齢化が進むという状況に対応しなければならなくなるだろう。しかし、高齢化は速度を上げて進んでいく。そのため、2020‐2035年の間に「準備はゆっくり、高齢化は急速」という状況を変えることに力を注ぎ、現代化が実現するであろう2035‐2050年には、「富而過老」という状況に注目しなければならない。
「昨年、高齢者人口は2億4900万人で、今年は2億5000万人を必ず超える。2050年には中国は世界で最も人口が多い国ではなくなっているかもしれないが、高齢者人口は必ず世界で一番多くなる」と陸氏。
そして、「人口の高齢化自体は問題ではなく、それは世界が逆転されることができない流れだ。問題なのはこれまでの若者型社会における制度制定は高齢者型社会という新形態にはマッチしなくなっている点だ。そのため、『計画』の中で、未来志向の制度制定というのが、とても重要な内容だ」と強調する。
その他、「中国は、高齢化への対応において優位性がある。政府は力を集中させて大きな事をして、高齢化が原因で起こるいろんな問題を解決し、労働力を改善して、効果的に供給し、出生率を向上させることができる。この『計画』には今後、世界中が注目するようになるだろう。中国の計画を、発展途上国だけでなく、先進国にもシェアし、高齢化社会における国家ガバナンスの新たなアイデア、対策を見いだしてもらいたい」とする。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年11月23日