モバイル・インターネットの急成長を支える技術が浸透すると同時に、喜馬拉雅FMや荔枝FM、蜻蜓FM、企鵝FM、懶人聴書、阿基米徳といったオーディオ・コンテンツの制作・配信に特化したプラットフォームの人気も急速に高まっている。人民日報海外版が伝えた。
国内大手リサーチ企業iiMedia Researchがこのほど発表した「2019年上半期中国オンラインオーディオ市場研究報告」によると、2018年、中国のオンラインオーディオ利用者数は4億人を突破し、増加率は22.1%に達した。2019年上半期、中国のネット利用者のうち、オンラインオーディオのアプリを使用したことがある人は半数以上に上り、このうち音声生放送を日常的に聴いている人の割合は46.2%に達した。同報告では、中国におけるオンラインオーディオ利用者数は2020年に5億4200万人に達すると予測されている。
「聴く本」であるオーディオブックは、数年前から人々の視野に急速に入り込んできている。実はオーディオブックの発展の歴史はかなり長く、中国の伝統的な表現芸術である「講談」は、ずばり、「オフライン版」オーディオブックスタイルの一種だと言える。今では、ニュースだけでなく文学作品もオーディオブックを利用することは、新たな消費のすう勢となっている。とはいえ、オーディオブックに対する理解や消費スタイルは、年齢層によってまちまちとなっている。
西安で働く付嘉禾さんは、今年大学を卒業したばかりの社会人1年生。彼女は、複数のプラットフォームでオーディオブックを利用した経験がある。社会人になり、通勤途上で毎日オーディオブックを聴いている彼女にとって、オーディオブックの最大のメリットは、隙間時間を利用して聴けることで、エネルギーの節約になるからだ。利用料については、「料金を払ってでも利用したい。いつも仕事が非常に忙しく、本を買いにいく時間を捻出できない。オーディオブックは私の時間的コストを削減してくれるだけではなく、本代の節約にもなる。だから、オーディオブック・プラットフォームの有料会員になっている」としている。
劉雅茹さん(47)にとって、オーディオブックを選ぶのは、便利であるほか、眼に良いことが大きな理由となっている。「毎日、寝る前に名著をオーディオブックで聴いている。この習慣で、自分を精神的に高められればと思っている。オーディオブックは、本を読むことの補充という枠を出るものではなく、内容をしっかりと理解するためには、やはり紙の書籍を読む必要がある。今、『論語別裁』を聴いているところだが、オーディオブックは自分を高める上で役立つことは間違いない。紙の読書と比較して、オーディオブックは、眼の負担を軽減してくれる以外に、便利な点がいくつかある。だが、読書の効果という観点からすると、紙の読書に軍配が上がる。また、オーディオブックのプラットフォームで選択可能なコンテンツもかなり多いので、有料コンテンツをあまり利用していない」と劉さんは話す。
現在、人々がオーディオブックを利用する主な目的として、「隙間時間を活用して学習を続ける」や「眼の疲労を和らげる」、「優良な音質を楽しむ」などが挙げられる。また、動画コンテンツと比べ、オーディオブックに広告が出る割合が低いことからも、ユーザーエクスペリエンスが高まるという結果がもたらされている。
中国人民大学大学院で学ぶ王楚祺さんは、喜馬拉雅FMでナレーターを務めている。彼女は、「オーディオブックのナレーターになって1年以上経つ。5ヶ月間で180万字相当のオーディオ小説を録音したことがある。この仕事で、学部在学中に1万元(約16万円)以上の収入を得た。そして、この収入のおかげで海外に卒業旅行に出かけるという夢を実現できた。オーディオブックのナレータ―になる条件は、それほど厳しくない。録音に適した環境があれば、普通のオーディオブックの録音が可能だ」と話した。
専門家は、「ここ数年の発展によって、オーディオブックは、『ジャンルが揃い、全てをカバー』できるようになり、完全な産業チェーンを形成するまでとなった。新たに興ったライフスタイルのひとつであるオーディオブックは、従来の視覚による閲読スタイルの重要な補充として、テンポアップした生活環境のもとで、より多様な方法で学習を続け、『隙間時間』をうまく活用したいという人々の願いを反映するものだ」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年12月19日