不動産会社が養豚で酒造会社が車 上場企業の相次ぐ業界の枠超え (2)

人民網日本語版 2020年05月11日16:42

踏み出した足はどうなったか?

投資会社の東方集団の張宏偉会長は、「中国はまだ急速な都市化の過程にあり、今後10-15年間で都市化率が70%から80%に達することは確実だ。農村ではこれから必然的流れとして村の合併や鎮の合併が進む。その過程で大量の農地や集団の土地が放棄されることになる。不動産開発業者(デベロッパー)の養豚は豚そのものが目的ではなく、養豚というチャンスを利用して未来の都市化に向けた『土地の囲い込み』の チャンスをものにすることが本当の目的だ。

指摘しておかなければならないのは、今年はマスクが全国民の必需品になり、中国石化、格力、上汽通用五菱、富士康、紅豆服飾などの大手企業が相次いで「兼業」でマスク生産を始めたことだ。これは「至急型」クロスオーバーの例だといえる。

これだけではない。企業が業界の枠を超えて自動車を製造するケースも多い。さきに酒造の五糧液集団が24億9100万元(1元は約15.1円)で買収した凱翼汽車の新車「■界」(■は火へんに玄)が発表され、ソニー、創維、格力などの家電企業もこの分野に乗り出した。業界関係者は、「『業界の枠え』の自動車製造には普遍的な問題がつきまとう。掛け声倒れに終わることが多く、量産型車種を打ち出せる企業は少数だという問題だ」と分析する。

有名な経済学者の宋清輝氏は、「自動車製造は技術、人材、スケールメリットが重要な伝統産業で、資金は一部を担うに過ぎない。数十年や百年にも及ぶ蓄積がある伝統的大手ブランドメーカーとは違い、中国の一部の新勢力はこれからじっくり蓄積し定着することが必要だ」と言う。

企業の業界の枠を超えた動きは重点投資分野を見いだすためであり、生き残りのためという企業もある。19年には海馬汽車や力帆汽車など多くの中国ブランド自動車メーカーがこぞって不動産を売却するようになった。業界では、「自動車メーカーの頻繁な不動産売却は各社が直面する困難な状況と関係がある」との見方を示す。

シンクタンクの盤古智庫の盤和林シニア研究員は、「不動産を売却した大きな理由は、2019年に独自ブランド車の売り上げが大幅に減少し、一定のキャッシュフローと資金を手にして上場を維持したり会社の土台となる運営を維持したりしなければならないからだった。不動産は資源の一部に過ぎず、主業務ではない。不動産を売っても自動車メーカーにとってはその場しのぎに過ぎず、長期的にみれば現実的な対策とはいえない。独自ブランドの生存能力を高めることこそ、自動車メーカーが長期的に発展するためのカギだ」との見方を示す。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年5月11日

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