期待を超えた消費に巻き込まれないようになった若者達は、日常生活の中で何かを選ぶ時もより自分に正直になったようにみえる。
収入を増やして支出を減らすのが、中国鉄路蘭州局集団有限公司で働く若者の宋佳龍さんが認める生活スタイルだ。農村で生まれ育った宋さんは、お金を稼ぐことの大変さをよく知っている。大学時代には、アルバイトをする、露店を出す、卒業シーズンに記念フォトを撮影するなどして、生活費を稼いできた。就職しても、学生時代と同じように通帳の数字が増えるのを見てより安全感を感じたいと思っている。
「お金を稼ぐということは将来がより計画的になるということ」。90後(1990年代生まれ)の宋さんの考えだ。宋さんは自転車で通勤し、服はまめに洗濯してあまり買わない。仕事の合間には、得意なカメラを活かして、雑誌に寄稿したり、ウェディングフォトを撮ったりしている。こうして何年か経ち、家を買い、貯金が増え、都市に根を下ろした。宋さんは同時により自制するようになり、仕事は一層計画的で高効率になり、余暇の時間を増やして、趣味のカメラに打ち込んでいる。
中国社会科学院社会発展戦略研究院の戈艶霞研究員は、「私たちは経済社会環境の極めて大きな変化を経験しつつあり、不確実性が今後一時期の主な特徴になり、これには人々の将来の収入と消費の不確実性も含まれるだろう。若者がインターネットで『ケチの心得』を共有するその本質は、一種の集団的な互助行為であり、不確実性の打撃の影響を受ける中で、私たちが不確実性を受け入れて適応すると共に、リスク対応力を高める上でプラスになる。長期的にみると、若者は無計画にトレンドを追いかけたり、貸し越し消費をしたりするといった状況はできる限り避けるようにし、基本的な生活が確実に保障された上で、自分の能力を高めることにより多くお金を使うべきだ。たとえば再教育を受けるなどだ」と述べた。
主に消費行動を研究する蘭州大学管理学院の若手教員の柴民権さんは、「『リベンジ的貯金』は以前の『精致窮』(生活の質を追求しすぎて貧乏になる)と同じで、メディア、一般社会、学術研究などが若い世代の行動・表現の目新しさやこれまでとの違いを強調しすぎているきらいがあり、若者が本当にますますケチになっているわけではない。若者のより理性的な消費行動は人生の中で暮らしの大変さを体験して、自然に起きた転換だ」との見方を示した。
また柴さんは、「私たちはこうした現象を大げさに騒ぎ立てたり、持ち上げたりせず、世論が若者の正常な消費観に影響を与えるのを防がなければならない。若者の金銭観や消費観の背後には、広大な社会の価値観の体系があり、それぞれの面で共同で牽引し育てていく必要がある」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月19日