新型コロナウイルス感染症の打撃を受けて、若者の生活に不確実性がもたらされている。インターネットの世界では、若者はケチであることや貧乏であることを隠さないどころか、よりケチであることを誇りに思うようにさえなった。ケチをきっかけにして友だちを作り、ケチのテクニックを交換する。こうしたケチケチぶりを比べ合う若者の行為の背後には、一種のユーモアという要素ももちろんあるが、そこにはさらに、モノを使い尽くそうとし、過度な消費を拒絶する、今の時代における心理状態の変化が潜んでいる。「中国青年報」が伝えた。
「アジア系米国人俳優のルーシー・リュー(劉玉玲)が言っていたように、たくさん貯金があれば、思いがけないことが起きても、誰かに強制されたり辞めさせられそうになったりしても、大きな声で『あっちへ行け』と言い返すことができる」。多くの若者はお金を貯めることで、より多くの選択を可能にする力を自分に与えようとしている。
鄭州出身の女性の原潔さん(27)はコツコツとお金を貯めている。今年4月、母親と一緒に家を一軒買ったとき、頭金として支払った45万元(1元は約15.1円)のうち30万元は、原さんが大学を卒業してから貯めてきた貯金の全てだった。
実は母と娘の間には、家の大きさをめぐり意見の食い違いがあったが、原さんが貯金を全部はたいたのを見て、母親は娘の意見を尊重すると決めた。原さんはその時、「経済的自立」がもたらす楽しさを実感したという。
家を購入した原さんは自分のために次の目標を立てた。「結婚するまでに20万元貯めて持参金にする」ことだ。
しかし同時に原さんは、「お金を貯めることが全ての若者にとっていいこととは限らない。たとえばパイオニア精神にあふれる人、お金をコストとみなして開拓していける人には適切とはいえない。しかし自分のような平凡な人間は、自分と妥協することを学ばなければならないし、早めによい消費観を養って、将来のリスク対応力を高め、自分の人生をコントロールしているという安全感を得ることが必要だ」と話した。