全国炭素排出権取引市場がこのほど北京、上海、武漢の3ヶ所で同時にスタート式典を行い、そして開場して初めての取引が行われた。これにより、各方面の注目を集める中国の全国炭素排出権取引システムが正式にリリースされ市場が動き出したことになる。初日の取り引きには、中国石油天然ガス、中国石油化工、中国華能集団、中国華電集団、申能集団などの企業が参加した。業界関係者によると、全国炭素排出権取引市場が開場したことは、中国の市場化された二酸化炭素(CO2)排出削減の取り組みが新たな段階に入ったことを示し、中国の気候変動対応の取り引きがまた一つ重要な一里塚に到達したことも示すという。「経済参考報」が伝えた。
全国取引市場は好調なスタートを切った。上海環境エネルギー取引所のデータによると、炭素割当枠についた始値は1トンあたり(以下同)48元(1元は約17.0円)だった。9時30分に最初の取り引きが成立し、取引価格は52.78元、取引量は16万トン、総取引額は790万元だった。同日の市場は取引価格51.23元で引け、上昇幅は6.73%、平均取引価格は1トンあたり51.23元だった。同日の最高値は1トンあたり52.80元、最安値は1トンあたり48トン。総取引量は410万4千トン、総取引額は2億1千万元だった。
上海取引所の関係責任者は、「関連の取引ルールに基づき、1日の取引の平均価格がその日の最終取引価格になる。そのため、全国炭素取引市場の初日の炭素排出枠の終値は1トンあたり51.23元となる。全体として、全国市場の初日の取り引きは安定して秩序立っており、予想通りだった。取り引きに参加するマーケットエンティティの投資・取引への意欲が旺盛だった」と述べた。
第14次五カ年計画期間がCO2排出量ピークアウトの重要な時期、窓口の時期であり、成熟し整備された炭素取引市場を構築することは、CO2排出量ピークアウト、カーボンニュートラルを実現するための重要なルートだ。発電業界が炭素取引市場に組み込まれるようになるにつれ、グリーン・低炭素の発展実現を推進し、石油化学、化学工業、建築材料、鉄鋼、非鉄金属、製紙、航空などCO2排出量の大きい業界がすべて全国炭素取引市場に組み込まれるようになる可能性がある。
今後の炭素排出枠取引価格の動きについて、業界関係者はそろって「これから価格は大きく上昇する可能性がある」と予測する。中国炭素フォーラムなどの機関が作成した「2020年中国炭素価格調査報告」の予測では、全国炭素排出権取引価格は市場開場当初は1トンあたり約49元で、2030年には93元に達し、さらに今世紀中頃には167元を超えるという。
国金証券の研究報告書によれば、炭素価格はさまざまな要因の影響を受けるため、現実的な価格予測の方法は欧州連合(EU)のCO2排出量ピークアウト時の欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)が域内総生産(GDP)に占める割合から中国の炭素排出権取引市場の炭素価格を逆算することだ。EU28ヶ国は全体として中国よりも経済が発展しており、中国の炭素取引価格の対GDP比は最高でもEU市場に並ぶくらいだろう。試算によると、30年の中国炭素排出権取引市場の取引価格は1トンあたり80-120元ほどになるという。これは清華大学の張希良教授のチームが計算した2030年の全国炭素取引市場の取引価格は1トンあたり13ドル(1ドルは約109.9円)という数字に近い。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年7月19日