中国科学技術大学によると、同大の張斗国教授の研究チームはこのほど、光学薄膜による平面型顕微イメージング部品を開発した。サンプルのスライドガラスに用いることで、通常の明視野光学顕微鏡で暗視野顕微イメージングと全反射イメージングを実現し、高コントラスト比の光学顕微画像を取得できる。新華社が伝えた。
光学の原理を利用することで、光学顕微鏡は肉眼では判別できない微小物体を拡大しイメージングする。一般的な光学顕微鏡は明視野顕微鏡で、光とサンプルの各ポイントの光吸収の差を利用し、明るい背景の中でイメージングする。しかし染色処理が施されていないバイオマーカーまたはその他の透明なサンプルについては、光の吸収が少ないためコントラスト比が低く、観測が難しい。暗視野顕微鏡や全反射顕微鏡はこの難問を解決できるが、複雑な光学部品が必要だ。これらの部品はサイズが比較的大きく、集積しにくいうえ、操作が難しい。
張氏の研究チームはこのほど巧みな設計により、光学薄膜による平面型顕微イメージング部品を開発した。この部品は一般的な明視野顕微鏡において、暗視野イメージングと全反射イメージングを同時に実現でき、イメージングのコントラスト比の面では明視野光学顕微鏡を大きく上回る。
またこの部品は構造がシンプルで、集積しやすく、低コストで操作しやすい。空気中のサンプルのイメージングのほか、液体環境における生物の生きた細胞のイメージングにも適している。
実験結果によると、明視野顕微鏡の主体光路アーキテクチャを変える必要がなく、適した顕微鏡スライドガラスを設計・製作することで、イメージングのコントラスト比を効果的に高め、イメージング機能を拡張できる。
このほど国際的に権威ある学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」が、この研究成果を掲載した。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年12月9日