実験の主な結論の説明図。(画像提供は復旦大学)
復旦大学の科学研究チームはこのほど、近視のメカニズムの研究で重要な成果を上げた。特殊な網膜神経節細胞である「ipRGC」が近視の形成において重要な役割を担うことを初めて明らかにした。論文の成果は8日、国際的に権威ある総合的科学誌「サイエンス・アドバンシス」の最新号に掲載された。
ipRGC(内因性光感受性網膜神経節細胞)は出力ニューロンとして、光受容体の信号を視覚野に伝える。この種類の細胞は21世紀初頭に発見され、「サイエンス」によって2002年の「10大科学ブレイクスルー」の一つと評価された。
研究チームは視覚形態を遮断されたマウスの近視モデルに基づき、複数の学科の技術を応用し、マウスの屈折の進行及び近視の形成におけるipRGCの働きを体系的に研究した。実験により、免疫毒素によりマウスのipRGCを選択的に破壊するか、化学遺伝学技術によりその特異性を活性化させることで、発育中のマウスに顕著な近視、もしくは遠視性乱視が生じることが分かった。さらなる実験により、ipRGCに含まれる黒質信号及び通常光受容体信号が、それぞれ視軸の長さと角膜の曲率の調節により、目の発育に影響を及ぼすことが分かった。
同研究はipRGCが目の発育及び近視の形成における重要な役割を初めて明らかにしており、将来の近視対策の研究開発に新たなアプローチを提供した。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年6月10日