山東省煙台市在住の臧釵瑗さんが生地を混ぜ、捏ね、伸ばし、形を整えると、生地の塊はその器用な彼女の手でたちまち七変化を遂げ、微笑むウサギや威風堂々とした獅子へと姿を変えた。そしてこの2つを「合体」させ、可愛らしい花餑餑(飾り蒸しパン)「醒獅兎」が誕生した。中国新聞網が伝えた。
臧釵瑗さんと彼女が制作した花餑餑「醒獅兎」(撮影・孫睿姣)。
臧さんは、「花餑餑は、山東省膠東地区でよく作られる小麦粉で作った主食で、毎年、春節(旧正月)の数日前になると、各家庭では、日々向上するという『蒸蒸日上』の願いを込めて、花餑餑を作る。今年はウサギ年なので、私たちの作った『醒獅兎』は人気を集めた」と話す。
膠東地区の花餑餑は、悠久の歴史があり、友人や親せきを訪ねる時や誕生日、結婚式の祝いの品として贈られ、山東省の省級無形文化遺産リストに登録されている。
花餑餑をしっかり作り、新たなブームを起こしたいという思いから、臧さんは2年前に起業の道を選んだ。無名の新人から、ネットで幅広く支持を得るようになり、ガレージを借りて店舗としていた当初から面積500平方メートルの工場を建てるようになるまで、彼女の事業はインターネットの力を活用し、ますます拡大している。同時に、花餑餑という無形文化遺産を各地に広めている。
「食品の安全は必ず守らなければならないもの。昔は、花餑餑は着色料で染めることが当たり前だったので、皮の部分は食べてはいけないという制約があった。そのため、『染料』を改良することにした」と臧さん。
「緑色はホウレン草を、赤色は紅麴米を、黄色はカボチャを使用している。そして私が作る花餑餑は全て完全な手作りで、小麦粉や卵、牛乳、白砂糖、酵母などを材料として使っているが、添加物は一切使用していない」と彼女は続けた。
オンラインのプラットフォームを通じて膠東の花餑餑の制作技術を各地にPRする臧釵瑗さん(撮影・孫睿姣)。
臧さんは2022年下半期、手作りの花餑餑のショート動画をネットに投稿した。「ショート動画を視聴した多くの若者が、私のことを知り、私から学びたいと連絡してくれた。また、花餑餑を作る上での新しいアイデアを数多くもたらしてくれた。ショート動画のプラットフォームを通じて、伝統的な技が新たな生命と活力を持つようになり、多くの学習者がその技を学んだのち、自ら花餑餑を作り、それらをEコマースやセルフメディアなどのルートで販売して、毎月かなりの収入を得ていると聞いている」と臧さん。
そして、「最初は、多くの人が、若者は花餑餑作りに向いていないし、将来性がないと思われていた。でも私は伝統の技の継承のためには若者が最も必要であり、若い人が伝統の技を自分の手で『練り上げる』ことでこそ、真の意味での伝承が実現すると考えている」とした。(編集KM)
「人民網日本語版」2023年2月8日