日系企業のイオンは北京市場での版図が縮小し続けている。分析によれば、消費高度化を受けて、従来の百貨店モデルを続けてきたイオングループは市場のニーズに応えられなくなった。事業を拡張し続けたいなら、各地の実情や市場の特色、消費者のニーズを踏まえて消費コンテンツを打ち出さなければならないという。
北京市昌平区にある昌平イオン夢楽城北京国際商城が閉店までカウントダウンの段階に入った。2008年にオープンした昌平イオンは、イオン社にとって北京市で初めて開業したショッピングセンターであり、15年近く営業を続けてきた。建物の延べ床面積は15万平方メートルに迫る。当時、周辺には住宅がほとんどなく、イオンが進出すると住宅や店舗が増え続け、地域商業が徐々に成熟していった。
昌平夢楽城のほか、北京の豊台区にもイオン夢楽城がある。取材に訪れると、3階のグルメシティはすでに閉店し、他のフロアもテナントが撤退する状況が現れた。
実際、イオンの「撤退」の動きは2022年10月から始まっていた。当時、朝陽区にある朝陽大悦城のイオンスーパーが撤退し、イオンの公式発表によれば企業の業務調整が原因とのことだった。
市場シェアの激減はイオンの業績と切り離せないかもしれない。イオンが発表した22年度業績報告によると、同年の収益は95億7千万香港ドル(1香港ドルは約17.1円)、損失は2億2千万香港ドルで、そのうち中国大陸部業務での損失が約1億1千万香港ドルだった。
消費市場が急速に変化する中、従来モデルの経営を続けるイオンは新たな消費ニーズとのミスマッチを避けられなかった。北京国際商貿センター研究拠点の賴陽首席専門家は、「昌平夢楽城は計画の当初は、周辺の大量の人口のショッピングニーズを満たしていたが、消費ニーズの転換にともなって、レジャー、文化、娯楽体験に重点が移り、イオンのプロジェクト運営モデルでは消費ニーズとかみ合わなくなっていた」との見方を示した。
注目すべきは、市場シェアが減少を続けるイオンが、南方市場に重心を移そうとしていることだ。公開された資料によると、イオン夢楽城は湖南省を中国での発展のもう一つの中核エリアに位置づけるとともに、湖北省武漢市と浙江省杭州市にも新たなショッピングセンターを設立する計画であることが明らかになった。
イオンが北京市場で縮小を続けながら、南方市場では引き続き事業を拡大するのはなぜか。賴氏は、「都市の発展や業態の高度化の状況は都市によって時間的な違いがある。夢楽城は北京市場では現在の消費者のニーズに応えられなくなったが、他の都市ではまだ一定のニーズがあるとみられる。同時に、新規着工プロジェクトは従来のプロジェクトを改善するよりも、施設内の業態プランをダイレクトに調整でき、旧プロジェクトに存在していた問題をうまく回避できる」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年4月21日