「宇宙環境地上シミュレーターの主体部の建設がすでに完了しており、現在は総合調整及び試験運転を実施中だ。一部の装置はすでにユーザーに科学研究サービスを提供している。プロジェクト全体は年内に検収を終える見込みだ」。哈爾浜(ハルビン)工業大学宇宙環境地上シミュレーター常務副総指揮の李立毅氏は16日、最新の進捗状況を説明した。これは中国の宇宙分野で初のビッグサイエンス装置となる「地上宇宙ステーション」が哈爾浜でお披露目され、中国の宇宙分野に新たな大国の代表的な製品が備わったことを示しており、中国の宇宙飛行事業と宇宙科学探査能力の向上に対して重要な下支えの役割を果たすことになる。
李氏は、「哈爾浜工業大学が中国航天科技集団有限公司と共に建設を請け負った宇宙環境地上シミュレーターは、地球上に実際の宇宙環境に似ている地上宇宙ステーションを建設することで、宇宙ステーションを地球に『運ぶ』ことに相当する。将来的に宇宙でしかできなかった多くの実験がここで行えるようになる。科学者は宇宙実験を宇宙で行う難しさが解消される。宇宙飛行士は将来的にここで月や火星などの星の表面環境を体験し、適応することもできる」と述べた。
このビッグサイエンス装置は哈爾浜の面積がサッカーコート約50面分の「宇宙環境地上シミュレーター建設パーク」にあり、普通に見えるが特殊な機能を持つ「1大3小」の別世界の実験棟が分布している。「1大」は宇宙総合環境実験棟のことで、「3小」は宇宙プラズマ科学実験棟、宇宙磁気環境科学実験棟、動物培養室のことだ。
「装置建設の波及効果は非常に顕著で、宇宙環境シミュレーションをめぐる多くの重要技術が、建設需要の牽引によりブレイクスルーを達成できた。中国は現在まで120件余りの国際・国内発明特許を出願している」。李氏は取材に、「国内外の科学者はすでに地上宇宙ステーションでの科学実験を待ちわびている。現在すでに国内外の110以上の大学と科学研究機関が同装置とユーザー協定を結んでいる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年4月21日