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中国大作映画に求められる「文化性の向上」 (2)

 「すぐに流行を追いたがる」癖は、中国映画に文化的要素が低い背後にあるもう一つの原因だ。商業映画がたまたま大ヒットすると、むやみに二番煎じ作品を作り、後に続こうと企てる。一方、製作費わずか300万元(約4755万円)の「瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン)」(監督:寧浩)」が大ヒットすると、国内では「モドキ作品」ブームが起こり、一時期の間にさまざまな「瘋狂」映画が続々と誕生した。低予算映画「失恋33天」が3億5千万元(約55億4800万円)という素晴らしい興行収入を記録した後、「片思い」「苦しい恋」など癒し系ラブストーリー映画が、人々のリアルな内面を描き共感を呼ぶという理由で次々と登場した。審美的な目新しさがもたらす審美的な喜びが消えた後には、必ず審美的な疲労が起こり、見飽きてしまうことは言うまでもない。

 国家の「文化面での顔」である文化的大作が中国に誕生していないことは、紛れもない事実だ。文化的大作は、社会からの要求、多くの投入資金、経験豊かな製作チーム、画期的な芸術価値と深遠な文化的意義、民族史に対する深い洞察、真・善・美に対する躍動的な芸術的解釈などの要素を備えていることが条件だ。ここ数年の広大な文化叙事映画の製作状況をみると、これらの条件とはほど遠いことが明らかだ。ベニス、カンヌ、ベルリンの三大国際映画祭において、中国はここ数年賞を受賞しておらず、その他の国際一級映画祭でも主要な賞を獲得したことはほぼ皆無であるという事実は、この現状を顕著に示している。2012年に制作された「白鹿原」「一九四二」などの作品は、民族史の一大転換点を取り扱ったものであり、相手国の命運に対する製作者の深い思考が反映されている。しかし、全体的にみると、このような映画は少数だ。

 中国の映画市場が今後も急成長を維持するためには、内側からのエネルギーをさらに掘り起こし、中国映画に対する観客の信頼を高める必要がある。まず市場で主流となっている商業大作映画の文化的クオリティーを高め、中国を軸とした価値観を発揚する役割を担わなければならない。現状において、商業大作映画の「大」は、単に製作費の大量投資、という意味だけではなく、主な観客層の商業消費と文化商品というダブルニーズを可能な限り満たさなければならないという意味も含まれる。われわれは民族的情緒にあふれ、壮大なスケールで描かれる歴史大作の創作を奨励し、平均年齢21歳の主流観客層に喜ばれる芸術スタイルにより、社会の核心的価値観を示し広める。一方で、中国映画の文化的思想とヒューマニズムの視点を象徴する優秀作品の中に国民の心の声を反映させることにより、共感を呼ぶ価値観を海外に発信する必要がある

 次に必要なことは、「ダークホース」作品の成長環境と成功要因を分析し、それらの成長法則を正確に把握し、盲目的な模倣を根絶させることだ。「ダークホース」を優秀作品群の先頭を走る「優勝馬」に育て上げ、中国の観客が求める低・中予算の商業映画を速やかにかつ大々的に発展させるようリードし、中国独特の低・中予算商業映画製作メカニズムを形成し、主流となる観客層のニーズに対応する。また、低・中予算の芸術作品の発展の可能性を十分に広げ、市場における文化作品のシェアを高める。

 映画は元来、商業性と芸術性を兼ね備えている。映画制作がますます活発化し、映画の形態がますますバラエティーに富み、映画文化が内包性に富んだ成長を続ければ、中国は、映画大国から映画強国への歴史的転換を遂げることができる。(筆者:北京電影学院党委員会書記 侯光明)(編集KM)

 *◆は国がまえで上に「八」、下に「口」

 「人民網日本語版」2013年4月19日

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