2009年に公開された米SFアクション「アバター」は、3D映像による劇場公開が大きく取り上げられた作品で、映画界が3D作品の制作へ向かう大きなきっかけとなった。以来、数々の大ヒット作品が出現し、3D作品は映画市場の主流となった。そのため、3D映画時代を「アバター以前」と「アバター以降」に分ける業界関係者もいるほどだ。2013年の映画市場でも、各種3D作品がしのぎを削った。大連晩報が報じた。
発展途上の中国の3D作品
孫健君監督の「天機・富春山居図(Switch)」(6月9日公開)は、ネット上で「制作費の割に出来が悪い」とのバッシングが多く寄せられたにもかかわらず、数日で興業収入2億円(約34億円)を超えるなど不思議な作品だった。この作品に3Dが採用されたのは、20元(約340円)、30元(約510円)の割増料金が徴収できるからにほかならない。同作品は劣悪な3D作品の極みと言わざるをえない。
徐克(ツイ・ハーク)監督の「狄仁傑之神都龍王(Young Detective Dee: Rise of the Sea Dragon)」(9月28日公開)は、中国の3D作品の中ではストーリーも面白く、完成度の高い作品だ。もちろん、3Dの完成度が高いというのは、中国国内のほかの作品と比べての話だ。徐監督はこれまで、新しい技術などをいち早く取り入れる点で模範となってきたが、全体的に見ると、中国映画界の技術的環境が海外に水を開けられているため、海外の3D作品と比べると、やはり同作品も見劣りがすると言わざるをえない。それでも、ぎこちなさが目立った2011年の3D作品「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(原題:龍門飛甲)」と比べると、技術のレベルが大きく向上し、3Dの完成度も上がっていたため、見所ある内容となっていた。
香港の映画俳優・周星馳(チャウ・シンチー)が監督に専念して制作した力作「西游・降魔篇」(2月10日)も3D技術を採用している。しかし、「飾り付け」程度に過ぎず、作品全体を見ると、ストーリーや視覚効果の点で、3Dならではの良さが発揮されていない。ただし、12億元(約204億円)という記録的な興業収入の点では、「3D」という振れ込みが大きな役割を果たした。
李煉・監督の「昆塔:盒子総動員」(8月2日)や孫立軍・監督の「兔侠伝奇」(2011年)などはいずれも、「中国初の3Dアニメ」とうたっていた。しかしその背後には、コストの半分は政策のサポートを受け、さらには大学などに行ってお金を払う必要のない大学生に3Dシーンを作らせ、「中国初の3Dアニメ」と宣伝しただけという内幕があった。そのレベルの低い技術は眼を覆いたくなるほどだった。
一方、今月24日に封切を控えている成龍(ジャッキー・チェン)主演の「ポリスストーリー」シリーズ最新作「警察故事2013」も、これらの流れに乗るかのように3D大作と名を打っている。
映画の本質はストーリーであることを忘れてはならない
映画ファンの見る目や美に対する追求が向上したほか、制作者側の制作手法や技術、設備などのレベルも向上し、さらに映画市場は興業収入に注目し政府もそれをバックアップするなど、どれも3D映画市場のヒートアップに拍車をかけている。しかし、3D映画の発展が視覚の刺激を求めるだけのものになってはならない。1つの作品に3D技術が採用されるかにかかわらず、映画の本質は人を魅了するストーリーにあるという原則は変わらない。「3D」という技術だけに注目した「ショー」のような状態を脱却し、それが本当の意味で映画技術の一部になった時、3D映画に明るい前途があると言えるようになるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2013年12月25日