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「政治問題は棚上げ、経済を先行」東証社長が中日関係語る

 ボアオ・アジアフォーラム「アジア金融協力会議」が2012年12月26、27両日、インドのムンバイで開催された。同会議に出席した東京証券取引所の斉藤惇代表取締役社長は会期中、記者の取材に応じ、中日関係について「日本の国民は中国と良好な関係を築きたいと希望しており、日本のビジネスマンはいずれも釣魚島(日本名:尖閣諸島)問題の早期解決を願っている」と指摘。中国が目標に掲げる「10年国民所得倍増」計画について「実現すれば、中国の内需や経済の発展が促されるだけでなく、日本にとっても有益」との見方を示した。「第一財経日報」が伝えた。

 ■中国の所得倍増計画は日本にとっても有益

 -----2012年は日米などで指導者が変わったが、これが世界経済に与える影響は?

 中国は恐らく今後もそれ相応の経済政策を継続し、所得倍増という問題にいっそう関心を寄せていくだろう。日本は1960年-1970年代、似たような歴史の過程を歩んできた。当時の日本政府は所得倍増を成功させた。

 中国の所得倍増計画は、日本人にとっても大変魅力的だ。中国は現在、貧富の格差がかなり大きい。もし格差の縮小が実現できれば、中国の経済発展にとって非常に大きな力となる。これは、5億の人口の所得が増えることを意味し、内需も大きく刺激される。欧州経済が不況の今、中国の欧州向け輸出も今後はますます困難になることから、これは輸出よりも重要な意味を持つ。中国の指導者も当然次のステップは中国の内需市場を育てることだとよく理解しているはずだ。

 いったん中国の国民の所得が上がれば、これが中国の消費を大きく促すことになるが、中国の労働力コストが上昇するに伴い、「メード・イン・チャイナ」の競争力も低下する。日本を含めて多くの国が同じような過程を歩んできており、これはとても正常なことだ。

 長期的には、中国経済は必ず回復するだろう。これは日本にとっても有益だ。日本の新政府には、より国際的な視野で周辺国と友好関係を保ってほしい。

 米国市場の先行きについては、慎重ながらも楽観的な見方を持っている。なぜなら、現在米国の住宅販売件数はすでに緩やかに回復しているからだ。住宅販売件数は米国の経済を読み解くデータの核心であり、これは一つの非常に良い兆候だ。

 個人的には、米国の「財政の崖」(2012年末から13年初頭にかけて米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れることに対する懸念)はあまり大きな問題ではない。議会と民主・共和両党が「財政の崖」がもたらすリスクを認識していれば、最終的には折り合いが付き、解決策が見つかるはず。米国は過去にもこのような問題を何度も解決してきた。今回の金額は確かに巨額ではあるが、一部のいわゆる「富裕層」が新しい税制徴収法に従うことになる。しかし年収10万米ドル(約875.6万円)以上という「富裕層」の基準をめぐり、激しい論争が起こっている。「財政の崖」がもたらすリスクが一体どのぐらい継続するかは、この論争の継続期間や論争に対する市場の反応によって決まる。このため、「財政の崖」には小さな確率だが依然としてリスクが存在する。

 -----中日関係は今までも政治的要素に大きく影響を受けてきたが、釣魚島問題がもたらした両国の政治・経済の緊張関係はいつごろ回復するか?

 国家間の政治の衝突は世界的にもよく見られること。賢いやり方は、政治上の問題は棚上げにすること。我々はすでに過去20-30年間これでうまくやってきた。1949年、中華人民共和国が成立して以降、日中両国は友好関係を保ってきた。我々はこの友好的な関係を壊す必要性はない。

 実際、日本ではごく少数の極端な政治家がデモなどを通して不満を示しているが、大多数の日本の庶民は中国と良好な関係を築くことを希望しているし、これは両国にとっても有益だ。また、日本のビジネスマンはいずれも釣魚島問題の早期解決を願っている。我々は日中両国のトップ同士が腰を据えて対話し解決することを望んでいる。これが一番良い方法だ。

 現在、日中韓3カ国は自由貿易協定(FTA)の交渉をすでに開始した。日中両国がまずは経済分野を先行させ、政治問題を棚上げにし、早期妥結することを希望している。つまり「政冷経熱」だ。

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