108人の在中日本人 「それでも中国に住む理由」を語る(3) (3)
◆客は客、安心して食事を
一昨年の3月11日の東日本大震災後、一部の在中日本人は中国で募金活動を開始した。山本達郎さんもその発起人の一人だ。山本さんはタオバオで口座を開設し、募金活動を実施した。多くの中国人から募金があり、そのうち一人の中国人は山本さんに電話をかけ、タオバオの口座がないため銀行口座に振り込みたいと問い合わせた。その人はその後、2000元(約3万2000円)を振り込んだ。山本さんによると、その募金活動では計9万3000元(約148万8000円)が集まったという。
また山本さんは友人と洋食レストランに行った際に、注文を終えてから店員に出身地について聞かれた。山本さんは、日本人だと答えた。数分後にレストランの経営者が出てきて、「安心して食事してください。客は客だと店員には言ってあります」と語った。
◆中国人のシングルマザーへのやさしさ
中国の職場で一人戦う日本のシングルマザーの佐藤愛さんは、人気お見合い番組「非誠勿擾」でざっくばらんな個性を見せ、中国で高い人気を得ている。昨年の中日関係の急激な悪化により、佐藤さんが上海で撮影したテレビ番組は放送を一時停止された。佐藤さんはこの件で悲しみを覚えたが、中国に引き続き留まることを選んだ。佐藤さんは本書の中で、上海人のシングルマザーへのやさしさに感動させられたからだと説明している。
佐藤さんは、「9年前に息子と上海を訪れ、留学生活をスタートさせた。当時は一人の知り合いもいなかった。私たちは大学内の寮に住み、上階には大学教師の夫婦が住んでいた。異国では不安で、普通ならば子供を他人の家に預けようとはしない。しかし私がこの夫婦と知り合ってからは、よく子供の面倒を見てもらった。私が寮から引っ越してからも、時々子供を夫婦に預けることがあった。彼らに支援してもらったおかげで、私は仕事に専念することができた」と語った。