ASEAN外相会議 フィリピンが不調和の一幕を再演 (2)
■フィリピンが不調和の一幕を再演
6月30日午前、フィリピン外務省職員数名が主催側に事前に知らせることなく、突然国際会議センター会場でプレスリリースを配布した。プレスリリースでデルロサリオ外相は南中国海で次第に強まる軍事化への重大な関心を表明。「フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の黄岩島(スカボロー礁)と仁愛礁(アユンギン礁)で増大を続ける軍事的、準軍事的プレゼンスは、海洋の平和と安定に向けた地域の努力にとって脅威だ」「中国の行動は2002年に中国とASEANが調印した『南中国海における関係国の行動宣言』の、各国は自制を保ち、係争の複雑化や拡大を招く行動を取らないとの規定に違反している」と主張した。
早くも会議前から、一部の外国メディアは南中国海問題について大々的な報道を繰り広げていた。フィリピンメディアは同国外相が会議期間に中国に圧力を加えることになると公然とはやし立てた。日本の共同通信は6月29日付記事で「日本外相がブルネイ到着、ASEANと連携して中国牽制へ」との見出しで、岸田文雄外相の訪問の目的の1つが、ASEANと連携して中国を牽制することにあると報じた。
■ASEAN各国はフィリピン側のやり方に賛同せず
ある匿名のブルネイ外務省職員は本紙記者に「ASEAN各国は昨年の溝が再び生じることを望んでおらず、領土紛争が中国とASEANの協力の大局に影響を与えることは断じて認めないし、ましてやフィリピン側の会議場でのやり方には賛同しない」と告げた。
タイ・チュラロンコーン大学政治学部長は「フィリピン側の今回の行動は南中国海問題でASEAN各国を『団結』させて中国に対抗することを望むものだ。中国とASEANの調整国として、タイは調整の役割をしっかりと発揮しなければならない」と表明した。
タイのスラポン外相は王外交部長との共同記者会見で、ASEANと中国が9月に中国で第6回「南中国海おける関係国の行動宣言」実行高官会議と第9回共同作業部会会議を行ない、「南中国海における行動規範」についての交渉も行なうことを明らかにした。