清華大学(北京)病院管理研究院の劉庭芳・教授は、「中国の医療観光発展には、▽観念、サービスが遅れており、医療機構が世界であまり認められていない▽医療観光に従事する専門の人材、特に外国語が堪能な医療専門家が不足している▽業界の運営の規範化が整っておらず、市場の秩序が乱れている---という3つの問題がある。医療サービスが世界でどれほど認められているかは、医療観光客が渡航先を決める際の重要な判断材料になる。現在、中国には国際医療機能評価機関(JCI)の認証を受けた医療機構が約20機構しかなく、医療観光を目的とした渡航先に中国を選ぶ観光客は少ない」と指摘している。
そのほか、専門家チーム不足から、海外での宣伝が進まず、中国の医療観光業界の海外マーケティングは思うように進んでいない。中国の同業界は「客を玄関で待っている」というのが現状だ。この点、韓国はというと、海外各国に代理人を抱え、整形美容業を中心に、全世界で医療観光を宣伝し、ブランドを確立してきた。
中国は「中国医学」を目玉にするべき
中華国際医療観光協会の賈笑芳・理事長によると、医療観光は、世界観光産業のうち、近年成長が最も早い分野となっている。そして、韓国の美容整形、タイの歯科、スイスのアンチエイジング治療、米国のガン治療など、各国がそれぞれ「目玉」を用意している。中国も医療観光における「目玉」が必要だ。業界関係者は、中国には▽観光資源が非常に豊富▽医療技術の水準が高い▽費用が比較的安い---などのメリット以外に、中国医学・漢方という「目玉」があると指摘する。そのため、医療観光において、中国医学の特色を強調すれば、中国国内の患者を引き留めることができるだけでなく、世界の医療観光客呼び込みにもつながるはずだ。
海南省にある三亜中医院は、早くから中国医学をメインにした療養観光を展開する病院で、ロシアやスウェーデン、英国、米国、イタリア、カザフスタンなどから、医療観光客が訪れている。観光客は冬や春に飛行機で訪れ、2週間ほど滞在して、針やお灸などの中国医学の伝統的な治療を毎日受ける。そして、治療以外の時間は、新鮮な空気を吸いながら日光浴をするなど、のんびりと過ごす。三亜市は、専門の旅行社を設置し、中国医学の治療を受ける外国人観光客を対象に、各自の体の状態に応じた治療法の見極めのほか、航空チケットやビザ、ホテル、通訳の手配など、一括したサービスを提供している。同病院の陳小勇・副院長によると、今年3月の時点で、同病院で中国医学の医療を受けた外国人観光客の数は延べ3万人に上り、1人当たりの平均医療費は2万ドル(約200万円)という。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年4月28日