中国の最高権力機関である全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は24日、「史上最厳格」と言われる「環境保護法」改正案を審議、可決した。新環境保護法は来年1月1日施行される。新環境保護法の完成により、深刻な環境問題に頭を悩ませる世界第2の経済大国・中国は、「最も強力な環境保護法」という後ろ盾が得られることとなった。新環境保護法は、経済急成長に伴う生態環境の悪化を食い止め、好転させるための大いなる一助となる見込み。新華網が報じた。
改正後の環境保護法の際立った特徴は次の通り。
○環境保護の監督管理をめぐる政府の職責がより明確に定められた。
○「生態レッドライン」体制、汚染物質の総量規制、環境モニタリングと環境アセスメント、行政区を跨ぐ地域共同予防システムなど、環境保護基本制度が完備された。
○環境汚染および改善に対する企業責任が強化された。
○環境に関する違法行為に対する法的制裁が厳格化された。
○政府や企業による環境関連情報の公開、国民の参与、環境保護に対する監督管理をめぐる一連の規定が定められた。
○法律の条文数が47条から70条に増加、法律の実現可能性と操作性が強化された。
いかなる国家にとっても、環境整備は総合的な問題であり、解決への道が険しい問題だ。中国の環境保護専門家は、「革新的な方法を採用し、制度面から着手し、煙霧の解消という大きな課題を、全面的で完備された長期的効果が期待できる体制の枠組みと思考様式の中に組み入れる必要がある」と指摘した。
十八大(中国共産党第18回全国代表大会)では、環境問題について、「美しい中国、永続的発展」なるコンセプトが提唱され、初めて「生態文明の建設」が党規約に明記された。
「小康社会(やや豊かな社会)の全面的建設」という達成目標に向かう中、重要な段階にある中国は、全面的かつ掘り下げた改革への道を歩きだした。環境保護部生態レッドライン専門家チームを率いる高吉喜氏は、「都市管理と都市計画は、汚染物質抑制の原点であり、新型工業化、情報化、都市化、農業現代化と歩調を揃えて進み続ける必要がある」との見方を示した。
高氏はまた、「新環境保護法では、政府責任が強化されて『監督管理』レベルにまで拡大された。汚染対策事業の実績も、地方公務員の評価指標の一つに組み入れられる。つまり、政府の責任範囲が、全面的かつ多元的で奥行きの深いものとなった」と指摘した。
このほか、新環境保護法には、環境保護普及活動の強化、環境保護に対する国民の意識向上、告発者の保護、環境公益訴訟の主体範囲の拡大、などの内容が新たに加わった。
中国の環境保護関連法体系は、約30の関連法と約90の行政法規から成り立っている。今後、新環境保護法を大黒柱として、改正版関連法が続々発表される見通しで、それらで構成された「制度のゆりかご」が、「美しい中国」を護り続ける。(編集KM)
「人民網日本語版」2014年4月25日