産業グレードアップ 中核技術と付加価値ともに必要
台湾地区の企業家の故王永慶氏は、16才の時に父親から200元を借りて米店を始めた。当時はコメの加工技術が後れており、販売されるコメにはぬかや砂粒や小石などが混じっていたが、売る方も買う方もそれが当たり前だと思っていた。だが王氏はこうした雑物を取り除いてきれいにしたコメを販売した。人民日報が伝えた。
また王氏は大量に買ってくれた得意先までコメを宅配した。割には合わないサービスだが、お得意さまの家の米びつにコメを入れるのも手伝った。米びつにコメが残っていれば取り出し、米びつの中をすっかりきれいにしてから新しいコメを入れ、古いコメは一番上に戻しておいた。こうしておけば古くなったコメが変質するのを防ぐことができる。得意先の多くが王氏のやり方に感銘を受け、王氏の店以外ではコメを買わなくなった。
伝統的な産業のモデル転換やグレードアップは王氏の米店のようなものだ。まずは米から雑物を取り除くようにして自分の中核的技術を磨くことだ。これが根本であり、これを土台として初めて飛躍発展の可能性が生まれる。
だが企業は技術イノベーションの不足にばかり目を奪われ、王氏のように付加価値をもったサービスを提供していない。中央経済工作会議がうち出したように、科学技術イノベーションの加速だけでなく、製品のイノベーション、ブランドのイノベーション、産業組織のイノベーション、ビジネスモデルのイノベーションも必要だ。製品、ブランド、産業組織、ビジネスモデルはすべて技術面での付加価値の上に構築されるものだ。