体裁とメンツが大事 中国で高額化する「嫁入り道具」
4日付の英紙デイリー・テレグラフ(電子版)は、「高額化する嫁入り道具:中国の新婦はゴールド持参でお嫁入り」と題する文章を掲載した。8日間続けて開かれた呉瑞彪・万利集団董事長の娘の披露宴がこのほど、福建省晋江市でようやくお開きとなった。新婦の寝室には、宝石貴金属が詰め込まれた箱が4箱、1千万英ポンド(約14億1500万円)相当の株券、200万英ポンド(約2億8300万円)相当の預金通帳。このほか、多くの豪邸・店舗の鍵や新型ポルシェもある。豪華絢爛たる嫁入り道具の総額は1億英ポンド(約141億5100万円)。これは決して史上最高額というわけではない。だが至る所で現代化の息吹が感じられる中国で、前近代的な「嫁入り道具」という考え方が依然幅を利かせているという現状は、大方の人にとって予想外だったに違いない。環球時報が報じた。
晋江市在住の老人は昔を思い出しながら、「1950年代、婚礼に必要なものといえば、数人の演奏者と籠1台だけだった。その10年後、モノカラーの結婚写真が登場、嫁入り道具は毛主席語録と洗面器だった。1970年代に入ると、自転車とミシンが嫁入り道具の定番になった。しかし、1980年代以降、人々が金持ちになり始め、嫁入り道具は、自転車からテレビ・オートバイ・BMW・アウディ・別荘・マンションなどに変わっていった。今では、父親が全財産の4分の1から3分の1相当の嫁入り道具や結婚持参金を娘のために用意するのが当たり前になった」と語った。
中国人なら例外なく、体裁とメンツを大変重んじる。2年前に結婚した蔡阿帆さん(音訳)は、「少し前まで、晋江は非常に貧しかった。しかし今では『成金だ』と皮肉られるようになった。女の子は、家が栄え金持ちになるよう、両親をサポートする。彼女らは、男の子のように進学はせず、家の商売を手伝う。両親の成功は、半分は娘の貢献によるものだ。だから、娘が嫁に行くとなると、多額の嫁入り道具や結婚持参金を準備する」と話した。
嫁入り道具は、実のところ、花嫁側から花婿側への一方通行的な行為ではない。花婿の実家でも、相応の出費を迫られる。一人っ子政策がもたらした新生児男女比アンバランスによって、結婚適齢期の女性がますます少なくなっていることから、特にその傾向が激しくなっている。晋江にあるブライダル関連企業の李江侖氏(音訳)は「高額の嫁入り道具や結婚持参金は、経済面での夫婦の平等を保つ上で役に立っている」と指摘。「新婦の70%以上が夫の実家で暮らし、彼女たちは毎日、姑と顔を合わさなくてはならない。中国の父母は、自分の愛する娘が嫁ぎ先で尊重されないような事だけは避けたいと思っている」と李氏は続けた。
北京民俗協会の高巍秘書長は「経済面での平等を重視するという考え方を背景に、こうした伝統は今後も継続していく。家柄や身分のつり合いを重んじる考え方は根強く、簡単には変わらない。中国で現代化が始まって100年あまり経ったが、文化の変遷には、さらに長い時間を要する」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年1月8日