効率面を見ると、日本の指導者の保守的な心理と狭い視野が、日本の生産効率の向上を制限している。日本の研究開発経費は世界トップ水準に達しているが、指導者は戦略的な視野を持たず、開発は既存技術の進歩ばかりにこだわり、発展の流れをリードできていない。流れを把握できなければ、競争の中で不利な立場になるだろう。ソニー、パナソニック、シャープなどの家電大手が、アップルやサムスンにシェアを奪われるといった事態が、今後も発生するだろう。これは日本の長期低迷の根本的な原因だ。
アベノミクスはこの「病」に合った処方箋を出したのだろうか?答えは「ノー」だ。
安倍首相の放った1本目と2本目の矢の実質は、財政・金融政策による消費と投資の刺激であるが、現時点ではその効果は現れていない。
日本経済の回復は主に現在の株価などの金融指標に示されており、利益を受けているのは主に大型の輸出企業と投資家だ。日本の実体経済、特に70%以上の雇用を受け入れている多くの中小企業は、景気回復の「暖かい風」を感じておらず、むしろ円安の深刻化によるプレッシャーを感じている。この状況の中、日本国内の設備投資は成長の原動力を持たない。内閣の推算によると、2013年度の日本国内の製造業の設備投資額は、金融危機発生前の2007年度の40%のみとなっている。
日本の消費にはやや成長が見られているが、その原動力は一般人ではなく、株式市場で利益を拡大した投資家にある。毎日新聞の調査によると、国民の80%は景気回復を実感しておらず、円安による物価上昇を実感している。消費拡大のため、安倍政権は企業に対して、利益増加分の一部を増給に充てるよう呼びかけており、5兆5000億円規模の刺激策を発表した。しかし円相場の低迷、企業の経営コストの大幅拡大の中、この程度の規模では焼け石に水だ。