マグロ初値、さすがに高すぎ? 史上最高1億5千万円
大勢の見物客や報道陣を前にすし店で解体される史上最高値で競り落とされたマグロ=5日午後、東京都中央区、小川智撮影 |
5日にあった東京都中央区の築地市場の初競りで、222キロの生鮮本マグロが史上最高値となる1億5540万円で競り落とされた。昨年出た過去最高値の3倍という高騰ぶりに、「市場価格をゆがめている」などと批判の声も上がっている。
午後3時過ぎ、同区築地の「すしざんまい」本店。詰めかけた報道陣と見物客の前で、木村清社長(60)が朝に競り落とした史上最高値のマグロを解体し始めた。日本刀のような長い包丁を振るって切り分ける。
競り落とした値から考えると1貫あたり4万-5万円相当だが、大トロ(398円)などの通常価格で提供した。最高値のマグロを一口でも味わおうと100人を超す行列ができた。大トロをほおばった女性は「歯ごたえがあって、甘い。おいしい」。
最高値の更新は3年連続だ。昨年の5649万円を1億円近く上回った。
近年、銀座の高級すし店と香港のすしチェーンが共同購入の形で競りに参加。すしざんまいと、その年一番のマグロをめぐって「デッドヒート」を繰り返し、年々、高騰してきた。
その銀座の高級すし店の店主は「今年出せるのは5千万円まで。超えたところで降りた」と話す。その後は香港チェーンの実業家が競り続けたという。店主は「昨年の価格でも常軌を逸している。宣伝効果があっても『金に飽かして』と言われかねない」と話す。
■高値、1本だけ
こうした飛び抜けた値が付くのは1本だけだ。この日競りにかけられた生鮮マグロは全体で654本。そのうち最高級の大間産は他に3本あったが、1キロ2万8千-4万3千円だった。
過熱する一方の最高値のマグロ争奪戦に、疑問の声が上がっている。
仲卸各社でつくる東京築地魚市場大物業会の伴忠夫会長は「最高値のマグロばかりが報道され、一部事業者の過剰な競争を引き起こし、市場の価格形成機能に影響が出かねない」と懸念を示す。
asahi.com 2013年1月6日
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