中国の宇宙事業、月探査の次は火星? (2)
葉氏は「今年下半期には月探査衛星『嫦娥3号』が打ち上げられ、初めて月面着陸を試みる。搭載される月面車は月面で3-6カ月に渡り作業し、関連データの測定と地上への伝送を行う。2020年ごろまでには月の土壌の採取とサンプル持ち帰りを実現できる見通しだ」と語る。
▽火星探査が直面する4つの難題
火星は地球以外で最も人類の居住に適した内惑星と見られており、科学技術大国がこぞって探査を行っている。
葉氏は、「世界各国の深宇宙探査には2つの特徴がある。1つは月探査を実施した国がすぐに火星探査に着手している点。中国より少し遅れて月探査を実施したインドもすでに火星探査を開始している。2つ目は、今世紀に入ってから現在に至るまで、火星探査の回数は月探査を上回っており、世界的に火星への注目が集まっている点。ただし、中国は総合的に考慮した結果、現時点では明確な火星探査計画を打ち出していない」と語る。
葉氏によると、火星探査技術は複雑で、4億キロ離れた火星までの遠距離通信問題など、以下の3方面の難題を解決しなければならないという。
第一に、距離が遠いため通信に時差が生じ、信号の行き来に46分かかる。また飛行時間が長く、地球から火星まで片道で10カ月が必要となる。このほか、太陽、地球、探査機が一直線上に並ぶ時期、通信が太陽放射による影響を受けるが、火星探査機が火星に到着するまでに、この影響を受ける時期が2カ月に及ぶ。