乳幼児に血管の炎症を引き起こす「川崎病」は、日本の場合、中国北東部から気流に乗って運ばれてくる菌類が原因の可能性があるとの報告を、米国やスペインの研究機関、栃木県の自治医科大学などの国際チームが19日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。北京の首都児科研究所の張霆・副所長はこれに対して、「各種学術会議や医学雑誌において、川崎病は菌類が原因とは特定されていない。そのため『気流に乗って運ばれてくる菌類が原因』というのは『ゴシップ』に過ぎない」との見方を示した。北京青年報が報じた。
日本で年間1万人が発症
日本メディアの報道によると、川崎病は、主に4歳以下の乳幼児がかかる病気で、1967年に小児科医の川崎富作氏が世界で初めて報告した。日本国内では年間約1万人が発症しているが、原因は分かっていない。
同国際科学研究チームは、日本で川崎病が大流行した79年、82年、86年において、発症者が多かった日の気流を解析したところ、中国北東部の穀倉地帯付近から流れてきたと推計された。87-2010年でも同様の結果だった。そして、発症の多い3月に日本の上空2千-3千メートルの大気中のちりを集め、微生物を調べたところ「カンジダ」と呼ばれる菌類が54%を占めていた。カンジダはかびの仲間で、体内や空気中にも存在する。
さらなる検証が必要
これまでの研究で、カンジダから抽出した物質をマウスに投与すると、川崎病に似た症状を発症することが知られており、原因の候補と考えられてきた。
同報道は、中国北東部の穀倉地帯ではとうもろこしや米、小麦が主に作られているが、カンジダとの関係は不明としている。また、チームに発症データを提供した前出大学の中村好一教授は「気流と川崎病の関連を証明するにはさらなる検証が必要だ」と話している。