(6)日本経済の長引く不景気は人々を心配させている。だが指導者たる安倍首相は、いわゆる「アベノミクス」の進展をはかることなく、政治的資本を極端な民族主義的事業に使い、軍拡や戦争準備を進め、平和の秩序に挑戦しようとしている。国内の支持率が下がっても、一向に心を動かそうとしない。歴史に「相似」を見る首相の作法に倣えば、この状況は第2次大戦前の日本と似ているのではないか。
(7)安倍首相は、日本の国際的な地位を高めるという志を持ち、世界中で演説して「地球儀外交」を展開し、「対中包囲網」の構築を画策し、アジアに新たなNATOのような同盟を作り出そうとしている。だが他国の安全を害することによって自国の安全を確保することが、日本が「正常な国家」になることを意味するのか。
▽未来について
(8)首相は最初の内閣で、「戦後レジームの脱却のためには憲法を改正しなければならない」と主張していた。第2次安倍内閣でも、憲法改正を生涯の政治的理想だと繰り返している。安倍首相は日本を軍事国家にするつもりなのか。日本自衛隊を真珠湾までパトロールに送るつもりなのか。
(9)日本は日米同盟の強化を求めている。だが日米両国はどんなに親しく見えても、どちらも自らの計算で動いており、互いの力を借りて自らの目的を果たそうとしているにすぎない。第1次大戦の勃発前にはすでに、日米間には中国権益をめぐって多くの矛盾があり、第2次大戦の極東地区の戦争の火種が形成された。第2次大戦後、日本は強国との同盟により、自らの野心と実力との溝を埋めてきたが、同床異夢の「同盟」はいつまで持つのか。
(10)日本には江戸時代から「二度あることは三度ある」ということわざがある。日本は第1次大戦の受益国であり、第2次大戦の発動国となった。第3次大戦を回避しようとする世界の努力において、日本はどのような位置に立とうとしているのか。
「歴史は繰り返さないが、韻を踏むことがある」(マーク・トウェイン)。100年前の欧州の夏が、アジアで再現されることは避けなければならない。
中国は歴史を重しとするつもりはない。だが第1次大戦の「対華21カ条要求」の恥辱から「大東亜共栄圏」のスローガンの下での殺戮までの歴史を中国人が忘れることはない。歴史を振り返れば、「強い日本」を主張する安倍首相の夢を目前にして、中国さらに世界は警戒を緩めることはできない。
安倍首相は中国首脳との会談への希望をたびたび口にしている。だが会談よりもまず、これらの質問に答えるのが先ではないだろうか。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年7月30日